表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

短編

巡るカセットテープ

作者: 花咲き荘



 『幸運のカセットテープ』。

 

 それは、ある小さな町にある伝説だ。

 曰く、そのテープに収録された曲を聞けば、大きな幸運がもたらされるという。





 田淵和彦(たぶちかずひこ)は、あるカセットテープを探していた。

 何でも、そのテープに収録された曲を聞けば幸せになれるらしい。オカルト好きな記者である彼は、そのカセットテープに興味を持った。


 田淵は噂の町に辿り着く。本当に小さな町だ。まずは歩く奥様方に尋ねる。


「あぁ、それなら榊のばあちゃんが八百屋の兄ちゃんにあげたって言ってたわね」


 いきなりの情報。これは幸先がいい。

 田淵は八百屋に向かう。


「カセットテープ? それなら床屋の嬢ちゃんに渡したで。別嬪さんに頼まれたもんでねぇ~」


 八百屋の兄ちゃんは頬を赤らめる。店は盛況そうだった。次に床屋に向かう。


「カセットテープですか? それなら精肉店のおば様に渡したけど。……私にはもう必要ないし」


 そう言って彼女は同じ店の男性スタッフに視線を送る。

 ふと見た左手の薬指には輝る指輪がはめられていた。どうやら噂は本当らしい。


 それから田淵は小さな町を駆け回る。

 噂のカセットテープは留まるところを知らず、町中を巡る。そして、町全体を幸せにしていく。


「あのカセットテープね! 榊のばあちゃんに返したよ」


 田淵は有力な情報を得る。どうやら、そのカセットテープは持ち主の所へ返ったらしい。


 「榊」という表札のある家に辿り着いた田淵はインターホンを押す。すると、中から若い女性の声が聞こえる。扉が開かれると茶髪の女性が出てきた。


「私は田淵と言います。噂のカセットテープがこちらにあると聞いてやって来たのですが」

「あー、そうでしたか……」


 そこで彼女は少し気まずそう表情を浮かべる。


「――なるほど、去年」

「はい。カセットテープは棺に入れてもらいました。あまり良くない事らしいですけど」


 そう言って、舌を出して苦笑いする。


「ちなみにどのような音楽が?」

「――実は中身は入ってないんです。おばあちゃんの初恋の人がくれたものだそうですよ」


 なるほど。確かに誰も曲については話していなかった。おそらく、お守りのような物だったのだろう。




 榊家を出て、田淵は車に戻ると煙草に火をつけて一服する。そして、今日の出来事を振り返った。


 題名は、そうだな……。


「――『巡るカセットテープ』かな?」


 そう言って笑う。本当の意味で、そのカセットテープは伝説になっていたのだ。


 最後まで読んでいただきありがとうございます!


 1000文字以下って難しい!!

 最初に書いた物から、削って、削って、削って……何とか内容が分かるように調節できたと思います!


 やっぱり、2000字は欲しいな~(切実)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 全体に流れる雰囲気が温かく、幸せな気持ちで読了しました。この短編がオムニバス作品にならないのだろうか、そんな物語があったら是非拝読したい…そんな風に思いました。それほど、この作品には素敵な…
[良い点] 幸せのおすそ分けが広がっている街の雰囲気が優しくて素敵でした。 巡る、という要素がどこかカセットテープの要素を連想させ、組み合わせが自然で綺麗でした!
[良い点] こんばんは。 物自体よりも、その物にまつわる思いを大切にした素敵な作品ですね。最初の持ち主の幸せが伝染していって、みんなを幸せにしてくれたのかなあと、ほっこりしました、 すごく良かったです…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ