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ソーイングスキルで目指せ魔王様~その魔物、俺たちのハンドメイド~  作者: あーちゃんママ
第10章 アーステア大陸
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じっじとじーじ

「では早速ダンジョンを作りましょう。場所はもう決めてあるのですか?」

お父様とテオドールがニコニコと立ち上がる。

「そうですね。助言を求めているので、そろそろ・・・あっ」



ゴワッと魔力が周りに満ちる。


魔法陣が展開し、ミルドレウスがテントの中に現れた。

ノームの末裔が住むライト山脈で会った時の貴族のような服装だ。

インテグラのように花で連絡するかと思えば、本人が来るとは・・・。


「・・・え?」


ズワッと空間が殺気に満ちた。



え?なんでお父様の剣、青白く光ってるの?

エスロットの大剣、光りすぎ!

自警団の農具、物騒だよ?!



「「・・・何者だ」」


魔王(ミルドレウス)首狩り(ミハイル)の声がハモった・・・。


ビュン!!


空気がしなる音がする。

お父様がミルドレウスの背後に立った。


「ほぉ、ミスリルの剣か・・・」

パラりとミルドレウスの襟元が開き、首から血が吹き出す。

「・・・首が取れないのは久しぶりだ」

お父様が感情の無い目でニヤリと笑う。

周りのみんなも農具を手に笑っている。



「え、あの、みんな待っ・・・」

「ディー、下がっていろ」

こちらを見ることなくミルドレウスを見据えている。


いやいやいや、何してるの?!

なんでいきなり喧嘩始めたの?!



「じっじ・・・」

「ヨルヨン、下がっていなさい」

「おい、俺の孫に触るな」

ぐっと剣を握る手に力がこもる。


「この子は我が一族に連なる者。貴様とは血の繋がりなどない」

「何を言う!血の繋がりなど関係ない。俺の息子がパパと呼ばれるなら、俺の・・・アペリティフの家族だ!」

「・・・ふん」



「お父様・・・」

母親は誰だとか全然聞いてこないと思ったら・・・。

俺の家族として、アペリティフの家族として受け入れてくれていたんだな。



「そして俺がじーじだ!」


一言余計だ!

ミルドレウスが舌打ちをしそうな顔をしている。

何で穏便に済みそうな空気壊すかな。

クラッシュタイプの呪いでもかかってるのか?




ベニチェア王国でミルドレウスの実力は見ている。

お父様も強いかもしれないが、怪我をするかもしれない。

それに、ここで喧嘩されたら・・・巻き込まれる!


「ヨルヨン、じっじとじーじに仲直りしてって言って」


サッ!!


「え?えぇ?!」

賢者の盾(テオドールガード)!!

ジロっと睨まれるがテオドールの影に隠れる。

これでじじ達の睨みは効かない!



「じっじ喧嘩したの?」

「私は喧嘩などしていない。あやつが剣を振ってきたのだ」

「じーじ喧嘩したの?」

「突然魔力を振り撒きながら現れたんだ。俺は悪くない」


ヨルヨンの深紅の瞳が2人のじじ達を見つめる。

「・・・じーじ、めっ!」

天使の審判(ヨルヨンジャッジ)!!

ジャッジメントかっわ!

いつの間にめっ!なんて覚えたんだろ。




お父様はヨルヨンのジャッジに不服なのか、ぷーいとそっぽを向いている。

「・・・」

「じーじ、ごめんねは?」

「・・・ごめんねー」


謝る態度わっる!

なに不貞腐れてるの?!

『私はミハイル・アペリティフ。ヨルヨン、私のことはじーじでいいからね』とか言ってた頃が1番貴族として・・・大人として振る舞ってたよ!




「お父様大丈夫?」

「・・・ふん、この程度。魔石を使うまでもない」

すっと傷を撫でると、血も傷も消え服が元通りになった。

さすがノームの末裔。



「それで、貴様は何者だ」

「・・・我々はアペリティフの民にございます」

先程の騒動など無かったかのように、貴族モードで受け答えをしている。

よかった。

お父様が元に戻った。


「・・・アペリティフの民は穏やかで勤勉だと言われていたが・・・」

ふん、とミルドレウスがお父様を上から下まで見る。


・・・お父様、チラッと俺を見ないで。

『斬っていい?』って目で訴えないで!



「20年前の戦争で、今のアペリティフは俺たちです」

「そうか。貴様もアペリティフだったな・・・」

そういや最初に会った時に名乗ったよね。



「で、お前は何者だ」

「・・・我が名はミルドレウス。テオドールの父にしてノームの末裔を統べる者」

「・・・ふん、ノームの末裔は賢者テオドール様がいれば事足りるのだがな」

お父様、止めてやれよ。

自分貶されてるのに息子が賢者って持ち上げられてて、怒るに怒れないでいるだろ。




「それより、ダンジョン作ろう。ミルドレウス様ならどこに作ればいいかアドバイス頂けますよね」

もうさっさとダンジョン作って帰ってもらおう。


「ふん。この大陸で適した場所など、ひとつしかない。【ウルミ山】だ。かつてノームの住処と言われた山だ。・・・まぁ、住処を転々としている故、滅多に会うことはないがな」

あのうさ耳モグラ、この土地にいたのか。


「・・・ん?ノームの住処をダンジョンにしていいのか?」

「テオの初ダンジョンだぞ」

「・・・」

・・・いや、だからどうした?!

初ダンジョンだから記念にいい土地でってことか?!



「かつてあの山の近くにノームの末裔が国を築いていた。・・・私もそこで育った。ノームの末裔がこの地に戻るのは運命(さだめ)やもしれんな」

ミルドレウスの眉間のシワが消える。

懐かしい思い出でもあるのだろうか。

「お父様の故郷?」

「・・・既に滅んだ。それよりダンジョンを作りにゆくぞ」

いつもの顔に戻り、さっさとテントを出ていった。

「・・・一人前になって色々聞けばいいさ。行こう」

「・・・うん」

少し寂しそうなテオドールの肩を叩いて俺たちもテントを出た。





「ノームの末裔は魔物を作り出し魔素を晴らす使命があると聞きました」

「うむ。この地のダンジョンが消え去って久しいがな」


テントを出ると、お父様とミルドレウスが会話していた。

さっきまで殺し合いの喧嘩してたのに。

似た者同士、気があって歩み寄ったか?


「ライト山脈には戻らないのですか?」

「息子の初仕事だ。見届けるのが親だろう」

「帰って構いませんのに。ダンジョン作りは賢者様が。魔物作りは『私の息子が』円滑にこなすと聞いていますので」


違った。

歩み寄りじゃない。

息子自慢しに行っただけだ!


「・・・そうだな。だが倒す者がいなければ魔素は払えない。私に傷一つ残せぬ者には厳しかろう」

「・・・」


ビキビキと魔力がぶつかり合っている。


やめて!喧嘩しないで!


「お父様、ヨルヨンにめ!ってされたでしょ」

「・・・チッ、ウルミ山までいくならベラルーラ軍潰すか」

なんで押し通る気でいるの?!

憂さ晴らしか?憂さ晴らしなのか?!



「ミハイルー落ち着けって。テオドールさん、難民の避難経路も欲しいので地下通路も作りながら行きましょう」

エスロットが下を指さす。

よかった。常識人が残っていた。





入口をテントで隠し、地下への階段を降りた。


「ここに来た時のトンネルにくっ付けたから、あっちに行くと駅に、こっちがウルミ山の(ふもと)ですね」

テオドールがキビキビと解説をしている。

(ふもと)はベラルーラ軍の監視下にあるようなので、もう少しアペリティフ内部にトンネルを伸ばして頂けますか?」

「わかりました。では先に行ってトンネルを伸ばしてきます。・・・えい!」


ドスン!


・・・出たよ石棺型ビートバン。


「む?テオ、何故そのような形に?」

「ディーが掴まってられないから箱型にしたんです」

「それに石では魔力の供給量に無駄が生じるのではないか」

「粘土じゃないと魔石がうまくはまらなくて・・・その・・・」

そういえば、ウルミ山の麓で2時間かかっていたな。

不得意な分野なんだろう。

そういえば魔石の使い道があるって言ってたが、これの事かな。



「・・・うむ。ひとつ渡しておく故、これを手本に作ってみるといい」

「・・・はい、お父様」

テオドールに渡されたのは黒い板に魔石が埋め込まれた物だ。

明らかに石のビートバンより速度がでそうな形状をしている。


「気を落とすでない。基本原則はできているのだ。そもそも箱型にしなければ乗れない奴に合わせる必要などない」

・・・いや、そこは譲歩してくれ。

あの速度で掴まってろとか無理だから。


「聞き捨てならんな・・・俺の」

「はいはい、ミハイル。とりあえずこの板に乗ればいいのか?」

ひょいっとテオドールの板を取り上げる。


「あ?」


ビュオォオ!!


魔石が渦を巻くように光りだした。


「あ、まっずい」

あちゃーと笑っているテオドールを久しぶりに見た。




「え?うぉぉおお!!」

ビュン!!とエスロットを乗せたビートバンが空を飛んでいる。

ガタガタと揺れるビートバンに掴まる姿は、魚を押さえ込むクマのようで、なかなかシュールだ。



「ぐふっ・・・」

エスロットがビートバンを壁にぶつけて倒れた。


「隊長、大丈夫っすか?」

「・・・むり。先に行け」

口を押えてプルプルと震えている。


「またっすか隊長。先行きやーす」

「・・・クマが魚取ってるみたいだったぞ」

「ぶはっ・・・覚えとけミハイル」

自分の姿がツボに入っただけで無傷だ。

どうやらここに常識人はいないようだ。





「ダンジョン全体を魔力で覆うのだ。魔力で隔離するから重さや質量は考えなくていい。魔素が入り込み、蓄積されるように術式を組むのだ」

「うーん・・・こう?」

ウルミ山の山頂付近の地下だという所に着くと、すぐにミルドレウスがテオドールにやり方を教えていた。

秘匿にされるかと思えば見ていても何も言われない。



「なぁ、俺たち見てていいのか?」

「見てもわからんだろう」

目の前でテオドールがダンジョンの術式を組んでいる。

金色の魔法陣が何重にもなっていて綺麗だ。


そして、なにが組まれているのか、さっぱりわからない。

かなり難しいことをしているように見える。



「テオってこういうの得意なんだな」

「一通りの勉強はしたからねー・・・よし、できた!」

教科書の違いなのか、(そざい)の違いなのか。

白い石を中心にして、複雑な模様が描かれている。



「いっくよー!・・・えい!」

ぶわっと金色の魔法陣が浮かび、地面に溶け込んでいく。

ドロドロと地面が溶けたと思えば、流れ出た地面から真っ白な階段が現れた。



「おーできた」

「とりあえず空間だけ作ったから、中身は今からだねー」


「・・・ふむ、8層まで作れたようだな」

どうやって測ったんだ。



「8層なら、ディーが欲しいって言ってた上下する箱も作りたいね」

「ああ、あの箱か。名前ってなんだ?」

昇降機(エレベータ)のことか?あれも魔石を使用した物だ」


「また魔石かー・・・ミハイルさんに魔石沢山もらったし、何度か作ればできるかなー」


「・・・テオ、魔石工学の専門書を置いていく。好きに使いなさい」

ふっと優しい目でテオドールを見ている。

そりゃ今まで人の話を聞かず、訓練も禄にしなかったやつが「何度も作る!」だもんな。

親として成長を感じているんだろう。



ドスン!



・・・本棚ごと出しやがった。


まぁ今回はありがたく貰っておこう。

あの速度で動く箱だもんな、失敗したら死人が出る気がする。



「貴様らも魔物退治に励むがよい」

「・・・我らアペリティフの民は賢者テオドール様の剣となり盾となります」

お父様たちがテオドールに跪いた。


・・・いや、ミルドレウスガン無視の陣形で跪くな!!



「・・・ディートハルト、これを使って魔物作りの真髄を見せてやれ」

渡されたのは白金の鉱石。


「これ・・・銀色鉱石磨いたやつ?」

「これで作ればバズズくらい作れるだろう」

『殺っちまえ!』と目が言っている。


バズズってなんだ?!

これ絶対上級ダンジョンのデュラハン以上の魔物が出るやつだ。



「・・・倒せる範囲でしか作らないよ」

とりあえずこれは貰っておこう。

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