表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/101

ドルドーラの奴隷商

「よーし鍛錬やるぞー」

「えーまたー?」

「また、じゃない。毎日やってこその鍛錬だぞ」

毎日6歳以上の子を集めて走り込みや剣術の指導を行っていた。

自警団に指導してもらっていたから俺だって剣くらい使える。

ただ、スキル持ちには絶対に勝てないだろうが・・・。


剣術や走り込みなどの鍛錬を行う他に、日々の水くみや子供たちの世話など毎日鍛錬と言えるほど肉体労働をしている。

そのおかげでこの3年で随分と筋肉がつき、肌も少し焼けた気がする。



「いつかあんな風に馬に乗ってみたいな・・・」

視線の先にはいかにも戦士という風貌の男とその後ろを銀髪の少女が馬を歩かせていた。

ドレスのような鎧、ボレロのような短いマントには階級章と十字架が装飾されている。



(女性でもスキル次第で戦場に出られるのに・・・)



アルが裾を引っ張る。

「兄貴馬に乗るの?」

「馬には乗ってみたいな。鎧は重たそうだからそんなに。馬に乗って風を感じたい」


ミィが反対の裾を引っ張る。

「ディー兄もドレス着るの?」

「ちょっとまて。俺が憧れを抱いたのはあっちのいかつい方で、ドレスのご令嬢じゃない」

俺はムキッと力こぶを出す。


「・・・あんまりない」

可哀想なものを見る目でアルとミィが俺の力こぶを撫でる。

仕方ないだろ。お父様だって細マッチョだったんだ。俺のせいじゃない。





「よーし売れ残りの小童どもめ。今日こそちゃんと売れるように礼儀正しくしてろよ」

ドル爺が集まった子供たちに一喝する。

「みんなー今日もお客さんが来たら、ちゃんとあいさつしましょーねだってー」


そんな副音声、声に出さなくても聞こえてますって。

そこにいたのはショートカットのお姉さん。

1年前に売りに出されたルミナだ。


「ルミナ!このガキ売っ払ってもすぐに出戻ってきやがる。今日は何の用じゃ」

ドル爺の一喝など気にせずルミナは笑顔で近づいてきた。

「もードル爺は相変わらずなんだから。可愛い弟分たちに給料のお裾分けにきたのよ」


ドル爺はルミナにちゃんとした【職】を与えていた。

スタイルの良さからそっち方面の勧誘が絶えなかったと聞いていたが、ドル爺が持ってきたのは夫婦で営む食堂の接客業。

「朝から晩まで働いてもこの給料だ!わかったか!」なんて言っていたが、給料が安定した安全な職なんて孤児には簡単にもらえない。

泣きながらお礼を言うルミナは毎月こうして給料の一部を届けに来ていた。



「ドル爺、俺にもちゃんとした職みつけてきてくれよ」

「ふん、女装させた方が買い手がありそうだったのに、3年で背ばっかりでかくなりやがって。さっさと露店にいってこい」


3年で、背が伸びた。

そう、俺はこの町で大人になったんだ。


この国では18歳が成人らしいが、アペリティフでは15歳で成人で酒も飲める。

ルミナにもさんざん子ども扱いされたが、ドル爺はちゃんと俺の成長を見ていたらしい。




俺は鼻歌交じりに【緑のスカーフ】を身につけた。

これはドルドーラの奴隷商の子だと示すもので、職持ちになってちゃんとした首輪が付けられるまでの目印だ。



さぁ、今日も元気に働くか!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ