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ソーイングスキルで目指せ魔王様~その魔物、俺たちのハンドメイド~  作者: あーちゃんママ
第6章 出会いと船旅
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魔王の帽子

帽子は分解すれば3つの構成になっている。

てっぺんのトップ。

側面のクラウン。

そして日差しを遮るブリムだ。


それぞれ表地と裏地を準備する。

表地は黒味が強い紺色と白黒のチェック柄の2種類。

裏地に選んだのは目の荒いガーゼ素材が2重になった通気性に優れた布だ。


ブリムの形を整える最新の【P素材】も準備した。

何でも木材を熱してドロドロにしたものを圧縮したとか。

どんなスキル持ちが生まれたのだろう。

厚紙を圧縮した従来のものに比べ水に強く、軽く扱い易いその素材はあっという間に市場を塗り替えていった。


(まぁ、消費者としては物凄くありがたいけどね)


スキル持ちがいなくなればロストテクノロジーとなることもあれば、新しいスキル持ちによって追いやられる技術や素材もある。



冒険者は魔石とドロップ品を。

テオドールは自分の使命を。

俺はテオドールから給料を。

全員が得をする素晴らしい関係。



俺はチクチクとトップとクラウンを縫い合わせる。

寸分たがわず、ぴったりと合わさっていく。

まさしく俺たちの今、そのもの。


このまま平穏に過ごしたいものだ。




冒険者たちが入り口で演説している

「いいかお前ら!あまり奥まで進むな、デュラハンのような魔物もいるかもしれない。それと狩りすぎるな!魔物の生態系がわからない以上、我々は狩りつつも限りある資源を守らねばならない!」

魔物を資源とか・・・冒険者としてどうなんだ。



この1週間、魔物を安定して発生させている。

魔物の増え方がわからず、オスとメスがいるに違いないとか、消えるのだから湧き水のように這い出てきているはずだとか色々言われている。


魔物に関する文献はあまりに少なく、俺たちが出現させた魔物が個性豊かであることに誰も疑問を持たなかった。



魔物についてその程度の知識なのだ。

魔王についてなんて誰にもわからない。



上級ダンジョンの入口にはこの冒険者たちが立てた看板がある。

「魔王討伐禁止!最深部魔物注意!」

「朝は8時から夜は6時までしか入るな!」

「パンの匂いがしたら撤収!邪魔するな!」

討伐禁止と注意喚起はわかる。

時間指定は、まぁわかる。

パンの匂いがしたらってなんだよ。

健康管理まで気を使われてるのか?


バルバラの町に行けば「魔王も大好き主食パン」って看板の店もあったし、歓迎されすぎだろ・・・。




「ま、せっかく作った魔物を一瞬で消されたら作り直すの大変だからな。それはそうと、魔素の減り具合はどうだ?」

「うーん、見た感じでは大丈夫だね。この1週間でダンジョン外に漏れ出る魔素はだいぶ減ってるよー」

俺には見えないが、この大丈夫は信用しよう。


「たまには町に出て美味しいものでも食べるか。ほら、帽子」

「おー!かっこいいね!」

紺色の帽子にチェック柄が入った俺のハンドメイド帽子。

鏡の前でクルクル回っている姿に少し前の自分が重なって笑ってしまった。



「そういえばテオはどうやって稼いでいるんだ?」

「んーお父様がお金持たせてくれたけど、やっぱり自分で稼ぎたいよねー」


落とし穴でも作って魔石を手に入れてもいいが、売り場でこの保護団体に目を付けられたら面倒だ。

「まぁのんびり稼ぎ方考えるか」



魔王は上級ダンジョンでスローライフを楽しんだ。

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