再会
急いで宿屋へ戻った。全力で走るとビールの酔いが回って気持ちが悪い。
近くの細い路地に身を隠し辺りを見回した。どうやらここへはまだ来ていないようだ。
すっとドアを通り抜ける。
「おかみさん、ここに俺たち以外に誰か来た?」
「いや、誰も?」
どうやら間に合ったようだ。
「ならいいんだ。・・・この町の友人が遊びに来いってうるさくてさ。今から連れを起こして行くことになったんだ」
「まぁこんな時間にかい。しょうがないねぇまた倒れないように注意するんだよ」
おかみさんには悪いがここに揉め事を持ち込むよりはマシだろう。
階段を駆け上がり、ドアを開ける。
テオドールはベッドで本を読んでいた。
「テオ、すぐに出るぞ。サイコ騎士がこの町に来た」
「わー、いつも素早いんだから」
パタン、と本を閉じる。
「呑気な事言ってないで早くしろ」
「そうじゃないよ。うしろ」
は?と俺は振り返る
俺の後ろにはすげー笑顔の女の子が立っていた。
「―――ひぃ!」
情けない声を出してしまったが、こればかりはしょうがないと思う。
「やっぱり、ここであってた。ふふ・・・」
女の子がふわりと笑う。
可愛いけど、なんで真後ろに立ってたの?
「ミリア、久しぶりだね」
ミリア・・・という事は、こいつがあのサイコ騎士?!
「隊長、ここでやり合わないでください。・・・とりあえず連行だ、立て」
後ろからいかつい顔の男が部屋に入ってくる。
銀髪のドレスを着た少女と焦げ茶の髪の厳つい男。
よく見れば2人とも見覚えがあった。
奴隷商で見かけた馬に乗ってた騎士たちだ。
「オルソン、見えない」
オルソンと呼ばれる男が立ちふさがるように前に立ち、ミリアはその巨体に阻まれて見えなくなった。
「・・・連行だ。聞こえなかったのか小僧」
・・・顔がこわい。声が渋い。
俺たちは連行されることになった。
アサラムの町、役場の地下牢獄に俺たちは投獄された。
せめて理由が知りたい。
「あの、何で俺たちを捕まえたんですか?」
ミリアがくすくすと笑っている。
「だって知ってるでしょ?このノームの末裔のこと、だから」
知ってるって程知らないです、出してください。
・・・とは言いにくい、ミリアの後ろでオルソンがすげー睨んでる。
「用は済んだし、バイバイ」
そういうとミリアとオルソンは地下から出て行ってしまった。
・・・ぜんっぜんわからん。
「ぜんっぜんわからん」
「心の声が出てるよー」
向かいの檻からテオドールが笑っている。
ニコニコしているが、お前のせいで捕まってるんだぞ。
「何この状況。このまま解剖とかされちゃうわけ?」
「あーそれ昔されそうになった」
「・・・・・・」
―――神様、ここから無傷で出してください!