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ソーイングスキルで目指せ魔王様~その魔物、俺たちのハンドメイド~  作者: あーちゃんママ
第4章 クロスレンチ
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貿易都市アサラム

「ディー待ってよー」

日が昇るまえの紫色の空を見ながら、俺とテオドールはアサラムの町を目指した。



「夜移動できなかったからな。それに朝早くならまた狼に遭遇する確率も低いだろ」

装備がそんなに変わっていないのだ。できれば会いたくない。

「はー・・・馬車、通らないかな・・・」

テオドールが遠くを見ながらぼやいている。




「あれが【アサラム】か。馬車がひっきりなしに出入りしているな」

3年間スタータの町にいたが、隣町に来たのは初めてだ。


隣町【アサラム】は街道が石畳で広く舗装されており、馬車がすれ違いながらその道を急いでいた。

少し小高い丘の上から見渡すが、全貌が見えない。

まるで貿易都市のようだ。


「・・・ディー・・・まっ・・・て・・・」

後ろを振り返ると青い顔のテオドールが倒れこんだ。

「は?おい、おいって!どうした!」

返事がない。仰向けにするが肩で息をしている。

「くっそ・・・どうした、おいテオ!テオ!」



顔色の悪いテオドールに肩を貸し、引きずるように門へと急ぐ。

門の前には入場を待つ人の列が続いていた。どうやら一人ずつ検査されているようだ。


俺たちが近づくと、入場を並んでいる男が振り返った。


「どうした?具合が悪いのか?おーい、具合悪いってよー!」

強面のアニキが叫ぶと振り返った人々の列が割れ、門への道ができた。

「ほら、先に行け」

「すまない、この礼は必ず」

「はは、気にすんな。いったいった」

みんな優しすぎるだろ。

俺は礼を言いながら列の真ん中を歩いていった。


「急に倒れた?今日は暑いからな、ちゃんと水分取らないとダメだぞ。この通りを右に曲がるとヨンヨン亭って宿屋がある。さっさと行きな」

門番は検査もそこそこに通してくれる。

ここの警備は大丈夫なのか心配だが、今はありがたい。


ヨンヨン亭はスタータの町のサンサン亭と同じく、こじんまりした宿屋のようだ。

「すみません、ここで休みたいのですが」

ドアを開けると、ふっくらした女の人が受付カウンターからこちらを見る。


「あらあら、どうしたの。ちょっと待っててね。あなたーちょっときてー」

女の人が叫ぶと、奥から2m近い大柄な男が出てきた。


「おぉ、どうした旅の方」

「暑かったせいか倒れてしまって・・・」

女の人もこちらに歩いてきた。

「すぐに水を準備するわね。あなた、部屋にお運びしてくれる?」

「もちろんだ」

ひょいっとテオドールを担ぐとそのまま階段を昇って行った。


宿屋の一室。2つのベッドのうち片方にテオドールが寝ている。

「倒れるとは、驚いたぞ。ちゃんと疲れたのなら言ってくれ」

「あーごめんね。僕日光が苦手でさー。半日近く浴びてたから頭ぐるぐるするよー」

ベッドに横になったままテオドールが笑って見せる。


「それもノームに関係することか?」

「そうだねー。日光には当たり過ぎないように、とは言われてるね。別に死ぬことはないけど調子悪くなるんだよ」

今度帽子でも作ってやるか。



「とりあえずサイコ騎士から逃げきれたのかな。次の行動を決めるためにも情報を集めるか。テオはしばらく寝ていろ」

「そうさせてもらうー」



テオドールを部屋に残し、階段を下りて行った。



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