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ソーイングスキルで目指せ魔王様~その魔物、俺たちのハンドメイド~  作者: あーちゃんママ
第3章 初級ダンジョン
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修復

「だから、僕ノームの末裔だって言ったじゃん」

言ったじゃん、じゃねぇ・・・。


「わかるように説明しろ。いや、説明の前に、その傷で死なないのか?」

「あ、これー?うーん、治るよー」

死なないのか?と言う質問に治るよ、だと?


知り合って1週間、こいつとコミュニケーション取る自信がなくなってきたぞ。



「売り物の魔石1個もらうねー」

そういうと鞄から魔石を取り出す。

何か詠唱するかと思えば、ぱくっと魔石を食べた。


ふわっとテオドールの周りを土埃が舞ったと思うと、足元の土が傷口に向かって登ってきていた。

ほんの数秒の光景だった。

土が切り裂かれた体の一部となり、テオドールの傷は跡形もなく消える。


「あー、服びりびりー」

ぴらっと破れた服を摘みあげる。

「・・・はぁー・・・縫ってやるから。それよりここから移動しよう。また襲われたらかなわん」

俺は色々言いたかったが、後回しにして狼を見据えた。


「だねー、でもこの狼どうする?素材剥ぐ?」

「無理だな。刃が全然入らなかった。捨てて行くしか・・・ん?」

遠くから馬の叫びが聞こえ、しばらくすると馬車が見えた。

きっと狼の臭いで怯えていたのだろう、じたばた落ち着かない馬をなだめながら馬車が街道を走ってきた。



街道の狼退治をしてくれた。とニコニコしながら商人のおじさんが馬車に乗せてくれた。

狼は俺が何度も刺したせいで売り物にはならないだろうが、役場に持っていけばいくらか報酬が出るということで、布袋に入れていっしょに乗せてもらっていた。




「・・・で?さっきのは何だったんだ」

鞄から布を出し、テオドールの新しい服を作りながら俺は小声で話しかける。


「んーとね、そもそもノームの末裔ってね、人間に近いけど、違うの」

「・・・は?」

思わず服を縫う手が止まる。

「生まれた時から大人で、500年くらい生きる間年を取らないの。あと体内の魔石が無事なら死ぬこともないよー」


「・・・魔物じゃん」


俺は頭を抱えながら呻いた。

魔物作りと言われて薄々やばい奴だと思っていたが、話をするうちにただのポンコツだと思っていたのに、・・・やっぱりやばい奴だった。


「魔物じゃないよーノームは精霊なんだよ」

「精霊と魔物の違いってなんだよ」

「んー・・・」

知らんのかよ!



「いいか、お前が魔物だって誰にも言わないから。このまま俺は奴隷商へ、お前はひっそりと森へお帰り」

「えーなんでー手伝ってよ。僕一人だと上手にできないだってばー」

むうっと頬を膨れるが、可愛くない。

見た目20代のおっさんがやっても可愛くない。


「一緒に魔王様やろうって言ったじゃん、諦めないで!」

「はぁー迷惑な奴だな・・・まぁこんな形で投げ出すなら初めからやってないけどな。でももう少ししっかりしろよ、魔王様」

出来上がった服をテオドールに投げよこす。


「えー言動で言えば僕よりディーのが魔王様だよー」

着替えながらテオドールは嬉しそうに笑っている。



魔王が二人、町に帰還する。


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