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ソーイングスキルで目指せ魔王様~その魔物、俺たちのハンドメイド~  作者: あーちゃんママ
第3章 初級ダンジョン
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初級ダンジョン

乗せてもらった馬車のおっさんにお礼を言うと、初級ダンジョンの入り口に向き直った。


「ここが、ダンジョンか・・・」

駆け出し冒険者が通る道。

早速入ろうとするが、テオドールに止められる。

「まって、ここ崩れかかってるから入ると危ないよ」

「なっ!」


よく見ると入り口の天井に大きなひびが入っている。奥に目を凝らせば何か所か落とし穴のようにぽっかり空いている。

「こっちに裏口があるから、そこから最深部まで行こう」

「裏口?」


草を掻き分けてダンジョンの裏手に回ると、壁に手のひらほどの彫り物があった。

それはモグラのような、ウサギのような、なんとも形容しずらいが、可愛らしい生き物が描かれている。


「この生き物は?」

「うーん、ノームって言われてるけど、実際のところはよくわからないんだよね。ダンジョンの守り神としてこういうダンジョンにはどこかしらに描かれているんだって」

お前ノームの末裔なのにノームのことよくわからないってなんだよ。


そんなことを考えているとテオドールはその壁画に手を当てた。

ふわっと光が俺とテオドールを優しく包んだ。



「行くよー・・・えい!」



光に包まれたと思ったら、周りにゴツゴツとした岩肌がみえた。

「すごいでしょ、あれ【転移】の彫刻なんだよ」

「すごいが、先に言え。いきなり飛ばすな」

こいつには少しずつ常識を教えないといけないな・・・。


ぐるりと一見すると何もない、岩だらけの空間だ。

ほんのり光を放つ石がそこかしこに落ちている。



「ここが、ダンジョンか・・・」

入口で同じセリフを言った気がするが、今は気分が違う。

ここは多くの冒険者が魔物と戦ったダンジョンの最深部。

冒険者とは逆の立場で、俺の冒険がここから始まるのだと胸が熱くなった。


「まずはここを魔物が住むダンジョンに変えていかないとね」



さっそく魔王の仕事が始まった。

ーーーが、


「魔物が住む前に、俺たちはどこに住むんだ?」

近くに家なんてなかったし、町から通うには距離がある。

「あ、そうだった」

どうやら何も考えていなかったようだ。

色々常識が足りなさすぎる。


「今までどうやって生活してきたんだ、お前は・・・」

「うーん・・・30才で親元を離れて、知り合いのドアーフの家に居候させてもらってた」



・・・ん?30才で?



「お前今いくつだよ」

「36だけど?」

「ぜんっぜん見えねぇぇぇ」

こんなのがお父様と同い年くらいだと?20代にしか見えないぞ。


「そりゃそうだよ。僕ノームの末裔だからね」

胸を張って言われるが、ぜんっぜんわからん。


「もういいや。とりあえず生活力はないわけだな」

「えーなんか酷い」

これは町からの通い確定かな。

馬を買って、毎日通勤か。


「あ、住むだけならここでも住めるよ。昔はダンジョンの中で生活してたし・・・えい!」

テオドールの掛け声とともに洞窟内に魔力が満ちる。


ゴゴゴゴと出っ張った岩が滑らかな壁となり、足元が慣らされていく。

一瞬の出来事であったが、洞窟であったはずの空間は何もない部屋へと変貌した。


「うっわ・・・なんだこれ」

「ふっふっふ・・・僕はスキル【ノームの祝福】があるからね。鉱石を作ったり、ダンジョン内の整備なんて簡単なんだよ」

「ふーん・・・あぁあのあたりにベッドを作って。んで、あそこからここまで壁を張って。水場とトイレは…なぁ地下水引っ張ってこれねーの?」

「あれ・・・驚かない・・・」

テオドールがポカンとしている。


「そんなことよりここの整備だろ。奴隷商の教えその1「住みよい環境を整えろ」だよ。衣食住整えてこそ人間は集団として生きられるって教えだ」

「へーすごいね」

すごいだろ。

そのうちお前にも叩き込んでやるから覚悟しろ。



「食料と水は1週間分ある。今のうちにここを俺たちの城にする」


魔王城の建設工事が始まった。


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