95.冥府の収穫
貯まりに貯まった魂を消費して、闇属性かつ空間属性のオリジナル上級魔術を取得した。
その名も〈インファナル・ハーヴェスト〉。
指定した空間に存在するあらゆる生命を死滅させ、魂を収穫するという広域殲滅魔術だ。
この魔術は指定範囲を広げれば広げただけ魔力を消費することになるのだが、逆に言えば今いる階層すべてを対象とすることができる。
魔術一発でこの階層すべてのキメラを殲滅することができれば、魂の収集効率は格段に上がる。
というわけで、早速だが試し撃ちといこう。
「……〈インファナル・ハーヴェスト〉!」
今いる階層すべてを対象範囲に指定し、発動した。
効果は明らかだった。
キメラの気配がどんどん消えていく。
そしてその全ての魂が、俺に流れ込んできた。
「――ッ」
身体が内側から破裂しそうだ。
大量の魔力を消費した甲斐があった。
その魔力も【魂喰い】ですぐに全快したが。
結局、一発で〈インファナル・ハーヴェスト〉取得にかかった魂を取り戻した。
「はは、凄い……!」
思わず笑いがこぼれる。
そして嬉しいことに、階層に続々とキメラの気配が現れ始めた。
大量のリポップだ。
【霊視】で視て予め知っていたことだが、この階層では魔物の数が一定数以下になると、大量のリポップが発生するようになっている。
恐らく6大神が竜の封印に近づかれないためにした措置なのだろう。
この階層は本来は死地なのだ。
訪れた者を大量のキメラで殺し、決して竜のいる最下層に近づけないための罠。
だが俺の力量はキメラを単独でなんとか撃破することができたし、その後もキメラが脅威でなくなるまで強くなった。
そして広域殲滅魔術の取得により、この階層は完全なボーナスフロアと化したのだ。
増え続けていたキメラの気配が落ち着いてきたので、再度〈インファナル・ハーヴェスト〉を撃つ。
十分な魂を収穫し、再びの大量リポップ。
数年がかりになるかと思われた魂集めだが、この効率ならば数日もあれば完了しそうだ。