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77.さすがにナナミの夢の中に入るのは自重した

さすがに俺がひとりで不寝番をするわけにはいかないので、夜は交代で見張りをすることになった。

俺とナナミ、クーラとタマの組み合わせで番をする。


俺はナナミと当たり障りない会話をする傍ら、【並列思考】でタマのところに【夢魔】で訓練しに行ったり、目立たない魔術を繰り返し使ったりしながら時間を潰した。


俺とナナミが眠る番になったら、俺は大人しく眠るフリをしながら魔術の訓練に勤しんだ。

ナナミに【夢魔】を使う理由はない。

〈マインド・リンク/相互〉を掛け直したので3人で雑談しながら、夜が更けるのを待つ。



翌朝になった。

朝食を軽く済ませて洞窟に挑む。


鳥人族は夜目がきかないので、〈ライト〉で明かりを作って進むことになった。

松明やランタンのように手を使うことなく明かりを維持できるので便利な魔術だが、俺たち3人には【夜目】があるのでなかなか使う機会がなかったので新鮮だ。


魔物は引き続き地中から出てくる巨大モグラや巨大ワームに加えて、洞窟を根城にしている人食いコウモリやヒルの群れなどと出くわすようになったが、レベルは変わらないので苦戦はしない。

しかし天井の低さから、鳥人族の狩人では戦いづらいことは予想できる。

護衛に傭兵が必要になるわけだ。


しかも戦闘と戦闘との間隔が短い。

ひっきりなしに魔物と遭遇するため、なかなか気が休まらないのだ。

俺は【魂喰い】が発動するので連戦はむしろ歓迎なのだが。


戦争のときにクーラとタマが疲労した件は、一応の対策を講じてある。

〈クリエイト・ポーション〉で体力回復特化のポーションを量産して、俺とクーラの〈ストレージ〉に保管しておいたのだ。

ちなみに容器はタマ2号で型を作って〈グルー・リキッド/速乾〉を流し込んで作ったペットボトルのようなもの。

キャップの作りに難儀したが、別に成型することでなんとか形にした。

どうせ〈ストレージ〉に保管しておくものなので多少作りが雑でもこぼれたりすることはない。


道中は休憩が取れそうにないので、この体力回復ポーションを飲むことで突っ切ることにした。


ナナミがポーションを飲んで目を丸くした。


「このスタミナポーション、凄く効果が高い気がします」


「こういう時の備えにはうってつけだろ? あんまり数はないけど」


嘘だ。

大量にストックしてあるが、効果の高いスタミナポーションの出処を探られても困る。


そうして3時間ほど進むと、開けた場所に出た。

同時にクーラとタマの足が止まる。


『どうやらここから神気の影響があるね。息苦しくなってきたよ』


『うう、進みたくないです』


『え、そうなのか? まったく気にならないぞ』


ふたりは神気の影響を受けているが、俺はまったく平気だ。


「ナナミさん、この辺りから魔物の気配がなくなりました。多分、神気が近いと思います」


「そうですね、私も空気が変わった気がします。この先から風神様の強い神気を感じます」


「では護衛はここで待機した方がいいですか。神聖な試練の場に居合わせるわけにはいかないでしょう」


「え……」


ナナミは不安そうに視線を彷徨わせる。

ここからひとりで行けと言われるのは想定外だったのだろう。


『俺、平気そうだからついていってもいいか? ふたりはここに残してさ』


『話の流れ次第ではそれも手かもしれないね。でもイズキは本当に大丈夫なのかい』


『ああ。まったく影響を感じない』


理由は不明だが、とにかく今は不自然にならないようにクーラとタマをここに置いていかなければならない。


「もしひとりが不安なら俺が同行しましょうか?」


「ええ、はい。お願いします。おふたりはどうされるのですか?」


「僕たちはここで近くにいる魔物を減らしておきますよ。神気の方に近づいてくることはないとは思いますが、念の為にです」


「そうですか……ではイズキさん、行きましょう」


なんとかクーラとタマを同行させずに済んだ。

さて、後は神気のところまで俺が行ければ万事解決なのだが。


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