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スキルツリーをぶっ壊すチートな邪神の御子さまは、いずれ最強になられるお方です。  作者: イ尹口欠
少年時代は自由にやるんでお構いなく

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76.いずれ消える魔球とか投げそう

風神の試練を受けるには、魔物の巣食う洞窟を抜けなければならない。

地下深くに存在する風神の神気に触れることで行われる試練だと聞いて、俺たちは身構えた。


これまで人類の街にある神殿には近づかないように気をつけてきていたからだ。

俺たち魔族にとって6大神の神気は毒になる。


「神気があるのに魔物が巣食っているのですか?」


クーラが不可解だと言った。

そういえば6大神の神気は魔族だけでなく魔物も近づけないのか。


「神気の及ぶ範囲はそう広くない。神気のある洞窟の奥まで行けば魔物は近寄れぬのだが、地上の入り口から深い洞窟の奥までの間に魔物が住み着いているのだ」


「なるほど。では神気の及ぶところまで行けば安全なのですね」


「その通り。本来ならば神殿として整備し、我ら鳥人族の手で管理せねばならぬのであろうが、なにぶん地下の洞窟では我らの翼は活かせぬし、広い空の見えない場所での生活は苦痛でな……」


神気の影響範囲の手前まで護衛すれば、俺たちはお役御免だ。

これならば依頼を受けられる。


報酬の話をしてから、翌日の日の出に村を出発することに同意した。


翌日、旅装を整えたナナミと一緒に村を出る。

洞窟までは1日、洞窟内は広いが1日で往復できるそうなので、何事もなければ計3日の旅程だ。


《名前 ナナミ

 種族 鳥人族 年齢 19 性別 女

 レベル 16

 【弓Lv3】【軽業Lv2】【姿勢制御Lv2】

 【料理Lv1】【裁縫Lv3】》


村長の孫娘ナナミは、タマと同じくらいの強さだ。

タマにタマ2号という戦力が追加されることを加味しても、ナナミにも風属性の魔術と弓術がある。


一見しただけの【魂視】では実戦の動きまでは分からない。

しかし前衛が足りていないのは確かだから、傭兵の護衛が必要だという話には納得できる。

洞窟では翼が活かせないため、村の鳥人族の狩人では満足に戦えないという理由もあった。


「それではよろしくお願いします」


「ああ、よろしく」


「クーラさん、イズキさん、タマさんですよね。なぜ昨晩、護衛を受けるかの判断をイズキさんに委ねたのですか?」


ナナミは年長者であるクーラが明らかに子供の俺に判断を委ねたことを不思議がっているようだった。


「実はこの傭兵パーティのリーダーはイズキなんです。僕は年長者だから交渉などで矢面に立つようにしていますが、旅の行き先や依頼受注の判断はイズキが行っているのですよ」


「え、そうなんですか。申し訳ありません、子供だとばかり……」


「いえ、子供ですよ。イズキはまだ11歳です」


「え……」


まあステータスで年齢詐称しても仕方ないからな。

変に歳を偽っても無用の疑いを招くだけだ。

〈マスキング〉していることに気づかれては困る。


「確かに俺はまだ11ですが、腕には自信がありますのでご心配いりません」


「あ、はい。それはもう。実はランドモッタと人間族の国との戦争はこっそり見物していましたから。イズキさんが敵陣に積極果敢に切り込んでいたのは見ていました」


強さとリーダーシップは別物だから、その辺がうまく繋がらなかったのだろう。


俺は「気にしていない」と言って歩き出した。


『確かに11歳の子供がリーダーだというのも不審がられるね。常に姿を変えるような手段はないのかい、イズキ?』


『〈イリュージョン〉かな。でも触るとバレるから体格を変えるのには向かないぞ』


『初対面のときの怪盗ウルフ、常にあれでいいじゃないですか』


『よくねえよ!』


出発前に〈マインド・リンク/相互〉をクーラとタマにかけてあるから、ナナミに気づかれることなく密談が可能だ。

3人の旅に人類が加わるのは初なので、念の為の措置である。

それに洞窟の奥には6大神の神気があるから、そこの手前で口裏を合わせて同行を断らなければならない。


人類の領域には多くの空白地帯がある。

大抵は強い魔物が生息していて駆除しきれずに支配下に置けない土地のことだ。


鳥人族の村から洞窟までの道のりは見通しがいいものの、狩りに適した魔物がいないことから放置されている。

魔物の駆除が十分ではないから、そういう意味では空白地帯と変わらない。


「地中に魔物の気配。来るぞ!」


地中に気配を感じ取った俺は、『白牙』を抜いた。


「地中……ワームでしょうか」


ナナミが矢筒から矢を取り、弓につがえる。


タマもタマ2号を地面に降ろし、ボディを形成して土玉を作らせた。

タマはナイフを投げるのはいつでも出来るのだから、どうせ牽制にしかならないなら最初は土玉の投擲でいいという結論に至ったのだ。


タマ2号があっという間に人型になって土玉を生成してタマに手渡すのを見て、ナナミが驚いている。

混沌属性は珍しいから、なかなかお目にかかれない光景だろう。


クーラは剣を抜いて軽く構えている。

俺はクーラに結構な数の魔術を渡したから、戦闘は前線を支えつつ魔術を交えたものに変化を遂げたはずだ。


さて地面からは勢いよく土を吹き飛ばしながら巨大なモグラが飛び出してきた。

ジャイアント・モール、レベル25の雑魚だ。


「〈疾空穿〉!」


「〈剛速球〉!」


ナナミの弓術とタマの投擲術が先制の一撃を加える。

共に巨大なモグラの出鼻をくじき、地面から上半身を出したままのマヌケな魔物に俺とクーラが刀と剣を振るってトドメを刺した。


タマは戦争で土玉を投げまくったおかげで遂に投擲の武器術を習得していた。

球体状のものを投げるときに発動できる投擲術で、効果は球速上昇である。

速度が上がれば当然、威力も上がる。

なかなか悪くない武器術だ。


ナナミも物怖じせずに弓術を放つことができたから、箱入りのお嬢様というわけではなさそうだ。

【弓】のレベルも3あったし、普通に狩りもしていたのかもしれない。


戦闘に不安がなくなれば、後は進むだけだ。

この辺りの魔物のレベルは20~25程度だったので苦戦することもなく、日が暮れる前に目的地である洞窟まで辿り着けた。


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