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68.なんでそうなったんだ

さすがにアリオスティンが寸止めするのに、風による打撃を拳から放つのは気が引けた。

というか、やったら台無しだろう。


現状で俺は魔術なしではアリオスティンに勝てない。

これは刀でなく、武器術のある【剣】に持ち替えても変わらないだろう。


ていうか習得している剣術、多すぎだろアリオスティン。

結局、〈神聖剣〉も引き出せていないじゃないか。


「いや。いやいやいや、双方、見事であった! これほどの立ち会いを観られるとは思わなんだ!」


ユゴッグが「感動した!!」と連呼している。


「よし、アリオスティン殿には約束通り剣を打とう。小僧の方は……あと数年したら来い。それまでにお前から教わった技法を極めておく」


「ああ、それでいい」


今の俺の体格では最高の刀を打ってもらったところで、俺に最適化されていないものが出来上がるだけだ。

身体が成長しきってから、身長に合わせて刀の形や重さを決めてもらった方が俺に合ったものを打ってもらえる。


そもそも先約を優先するという当たり前の話に落ち着いただけだが、得たものは多かった。


「イズキ、君の将来が楽しみだ。傭兵など辞めて我が国へ来ないか。君ならば私と肩を並べて、魔族の領域を大きく切り取ることができるだろう」


「いや、悪いが騎士なんて柄じゃない。誰かの命令を聞くのは好きじゃないんだ。自由な傭兵でいたい」


「そうか。だが気が変わったらいつでもキルパート王国へ来てくれ。歓迎しよう」


「分かった分かった」


俺はテキトーにアリオスティンをあしらって、クーラとタマの元に戻る。


「お疲れ様、イズキ」


「イズキくん、凄かった。格好良かったよ~」


「ありがとう」


アリオスティンには、魔術を使えば勝てただろう。

多分〈スリープ〉で一発だ。


では手持ちの魔術がまったく効かない相手で、アリオスティンと同等の技量をもった相手が敵ならば?

無銘の霊刀を手に〈魂砕き〉で殺すしかないな。


しからば神が相手ならば?

霊刀を手に〈断神剣〉、……はまだ不完全か。


俺ではまだ倒せない相手がいる。

それに、武器スキルの限界が5ではないことを俺は知っている。


……まだまだ、もっと強くなる。


魂が欲しい。

貯蓄は随分と目減りしてしまった。

早く迷宮都市で魔物狩りをしたい。


だが俺の希望もむなしく、旅路を阻むものが現れた。


「大変だぁ! せ、戦争だ! 戦争が始まったぞぉ!」


ひとりの山人族が工房に走り込んできた。

この工房の鍛冶師だろう、どうやら隣接する国同士が戦争を始めたらしい。


「慌てすぎだ、水でも飲め。隣国ふたつが戦争を始めそうだって話は、随分と前からあったじゃねえか。今更なにを慌てて……」


「そうじゃねえんだ! 戦争は、隣国ふたつが同盟組んで、ウチの国に仕掛けて来たんだッ!!」


……なんですと?


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