6.スキルツリー考察
邪神の加護を起動する。
魂の保有量は未だにゼロのままだが、樹形図には変化があった。
まず肉体から【剣】と【槍】が生えた。
もっとも【剣】も【槍】もスキルレベルの表示はなく、文字もグレーで表記されている。
恐らく努力していけばスキルレベル1で習得できるのだろう。
また精神から【魔術】が生えた。
てっきり魔力の下に来るものだと思っていたが、考えてみれば魔術に関する知識、すなわち記憶も魔術に必要な要素だ。
【剣】や【槍】も筋力、器用、敏捷などが複合的に必要になるから肉体から直接、生えてきたのだろう。
【魔術】からは更にいくつも枝分かれした項目が表示されている。
個々の魔術だ。
魔術の初級教本で読んだことのある魔術が生えてきていることから、恐らく魔術やスキルについて俺が知った時点で樹形図に追加されていくのだと予想できる。
また最初から所持している種族特徴や、遊びの中で自然と身に着け始めた【剣】や【槍】など、加護に頼らない普通のスキル習得の手順を踏んでいるものも樹形図に追加されている。
逆にスキル名を知っているのに樹形図に現れないスキルも多い。
恐らくだが、魔術の初級教本で得られる程度の理解を求められているのではないだろうか。
魔術については原理や習得方法などが記されており、実際に訓練すれば習得が可能だと思う。
だが聞きかじっただけのスキルはどうすれば習得できるのかも不明だし、実際の効果についても理解が浅い。
もしくは前提条件があるスキルもありそうだ。
樹形図の形をしている以上、経路を形成せずに一足飛びにスキルを習得することはできないのではないだろうか。
例えば剣閃を飛ばすような剣術スキルを、【剣】スキルなしに習得できるとは思えない。
剣術スキルの前提として、【剣】は必要不可欠なはずだ。
手早く強くなるために邪神の加護をもらったはずだが、意外と使えるのが先延ばしになってしまっている。
両親が健在で集落が安全なためだから、別に問題はないのだが。
できればアンデッドを狩りたい。
アンデッドが相手ならば霊刀を使えるから、格上相手でも勝てるだろう。
しかし死体は基本的にアンデッドにならないように神殿が然るべき手順で埋葬しているし、集落の外に出る許可が得られる年齢ではない。
……まだしばらくはおあずけか。
乳幼児期に命を落とさなければ、後からいくらでも強くなれる。
今は雌伏のとき。
勉強と遊びを目一杯、楽しむ子供時代だ。
せっかくの第二の人生だし、楽しんでもバチは当たるまい。