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41.ネコミミ様がご降臨なされる気配がするぞッ

飛び出したはいいが、そもそも人類の街は不案内だ。

どこに何があるかも分からない。


それでも人の集まる匂いを頼りに歩いていく。


【聴覚】と【聞き耳】で話を盗み聞きし、なんでもいいから儲け話になりそうなことを探す。


その中で気になるやりとりを耳にした。


「猫人族のあの子、今夜が水揚げだってよ」


「マジか。今回は幾ら積み上げるのかねえ。猫狂いは」


「器量も良さそうだったし、こりゃ新記録かもな」


下卑た笑い声が交じるやり取りに、気になる単語。


まず猫人族は魔族だ。

人狼族や狐人族と同じく、耳と尻尾以外は人間族と同じ見た目をしている。


魔族が人類の街で存在を許されている場所は、金持ちか権力者の手の中か、そうでなければ娼館だ。

おそらくだが、猫人族の少女が初めて客を取らされるという話だろう。

そしてそれに大金を注ぎ込む物好きがいるらしい。


……うーん、儲け話になるのかこれ。


そもそも魔族を娼館で囲っているのが気に食わないのは置いておくとして、クーラがこの話を聞いてどういう対応をするのか知りたい。

危険を犯してまで助け出すとは思えない。


猫人族は確か【人化】できない種族だ。

お荷物を抱えて魔族の領域まで戻ることは難しいだろうし、本神殿が人類圏に密偵として送り出しているのは捕らえられた魔族の開放が目的というわけでもないだろう。


……ならば見過ごすか?


わざわざクーラを暗い気持ちにさせる話をする理由はない。


だが助け出すことは、本当にできないのか?

こんな話は人類の街に行けばどこにでも転がっている話だろう。

だが、だからこそ、このような話を放置し続けるのは問題があるように思える。


今夜、積み上がる金貨の山が確実に現れる。

猫人族の少女の人生はともかくとして、これを横からかっさらうというのは駄目か?


クーラは反対するだろう。

人類の街で盗みを働けば無用に目立つし、そのことで自分の首を締めかねない。


俺はまったく気にならないが……。


まあ。

この話を伝えるだけは伝えてみよう。

そのうえでクーラの意見を聞いてみたい。


それを聞いたうえで、俺がどう行動するのか決めるとしよう。


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