40.チンケな儲け話じゃ満足できねえんだよ!
傭兵と、子供ながら腕のいい魔術師という触れ込みで仕事を探す。
傭兵がまず仕事を探す場所は街の兵士詰め所。
街の周辺に強力な魔物が現れた場合に仕事が発生する。
これは街の領主からの依頼となるが、賃金は傭兵の実力と領主の財布の紐の硬さによってまちまちらしい。
今回はとくに脅威となるような魔物の発生は観測されておらず、仕事はなかった。
次に仕事を探すのは、商人組合。
主に街と街とを移動する商隊の護衛だ。
これは常にあるものの、大抵はその街に根付いた傭兵や商会に雇われている専属がいるので、なかなか入り込める余地がない。
仕事があるのは、急な怪我や病気で欠員が出ているときくらいだ。
特にそういった欠員はないらしく、仕事はなかった。
最後は狩人組合。
食用に魔物を狩るか、面倒な場所にある薬草を取ってくるといった仕事だ。
これも大抵は街に根付いた狩人がいるので、珍しい獲物を狙うか面倒な場所まで行くような仕事しかない。
「……というわけで、イズキは薬草採取と狩り、どっちがいい?」
「断然狩り」
「そうだと思ったけど」
遭遇が難しい魔物も【嗅覚】で探せばなんとかなる。
しかしクーラはどうも乗り気じゃないらしい。
「何か気になるのか?」
「いや、本当に狙って遭遇できる魔物じゃないんだ、これ。数自体が少なくて」
「あー。それだと確かに不確実か……」
俺と同じく【嗅覚】があるクーラが言うなら、そういうことなのだろう。
「じゃあ最初から薬草一択じゃねえか」
「まあそういうこと。手間はかかるけど確実だし実入りも悪くはないよ」
時間がかかる割に1ヶ月分の生活費にもならない。
まったくお得な仕事ではなかった。
やはり安定して魔物と戦えるダンジョンに早く行くべきだ。
「薬草探しはちょっと保留にしようぜ。俺は儲け話を探しに街を見物してくるよ」
「え、ちょ」
クーラを置いて、俺は街へ飛び出した。