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スキルツリーをぶっ壊すチートな邪神の御子さまは、いずれ最強になられるお方です。  作者: イ尹口欠
少年時代は自由にやるんでお構いなく

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39.一番大事なものって金だよね

出発前に野盗から金貨をせしめていたことがバレて小言をもらったが、それ以外は万事旅路は順調である。


迷宮都市はその名の通りダンジョンを中心とした街で、ダンジョンから産出される魔物の素材と魔石、宝箱から得られる宝物によって経済が成り立っているらしい。

ダンジョンはこの大陸に3ヶ所あるそうで、うち2ヶ所は国有で民間人立入禁止となっている。

そして残る1ヶ所が迷宮都市という独立国家である。


大陸には中小国家が幾つもあり、同盟したり敵対したりしているそうだ。

迷宮都市はダンジョンを一般開放することで、一儲けしようと考えた腕っぷしのある荒くれ者を集めることに成功。

それが都市を守る防衛戦力となり、近隣諸国も取り込むことができずにいるという。


「これから最短でも2つの国を通らなければ迷宮都市にはたどり着けない」


「それらの国に入るにはなんか必要なものとかあるのか?」


「もちろん。それぞれの国の通行手形が必要になるよ」


「クーラはそれを持っているのか?」


「あるにはある。ただこれ、自分用だから……」


「俺の分を手に入れる必要があるのか」


問題はどうやって通行手形を手に入れるか、だ。


クーラの場合は地道に傭兵の仕事で信用を積み重ねて入手したそうだ。

結構な年数がかかったらしい。


ちなみにクーラの年齢は28歳だ。

だが外見は10代後半でも通じるくらい若々しい。


魔族は戦闘種族だから、そもそも若い時期が長い。

本当は寿命も長くて150年くらいは普通に生きられるらしいが、大抵は戦いで死ぬので50歳まで生きれば長生きだとされる。


閑話休題。


「ちなみに通行手形とか無視して国境を越えることはできないのか?」


「イズキはまたそういう無茶な発言を……」


「いやだって面倒じゃん。ささっと通り抜ければバレないだろ?」


「街に入るときに手形を確認されることもあるんだよ」


「常に塀を飛び越えて入ればよくない?」


「よくないよ!?」


まあクーラには難易度が高いかも知れない。

塀の高さによっては、飛び越えるのに能力値やスキルが足りなさそうだ。


「じゃあ金でなんとかしよう。幸い、金貨はある」


「あーうん。正攻法だね。それに一番、早いし確実だ」


ただし、とクーラは言った。


「売ってくれる相手がいればだけど」


それが問題だ。

通行手形というものは、基本的に国をまたいで商売する商人などが高い金を払って入手するものである。

一般人は自国どころか生まれ育った街から出ることすら滅多にないため、必要ないのだ。


そのため金を出して買う場合の入手経路は、商人一択、しかも大店からとなる。

その大店も、もし自分のところから売った手形がならずものに利用されようものなら、自分の店の信用を落とすというリスクをはらんでいる。

そのためまず大店の信用を得るために商隊の護衛などから……


「……って結局それも時間かかるし!?」


「あ、そうじゃなくて。リスクに見合うだけの金を積めばいいんだよ」


「割り増しした金額を支払えば文句はないってか。あーそれなら時間短縮になるか」


しかしそうなると今度は金額の問題になる。

俺が野盗から手に入れた金貨は、さほど多くはないのだ。


「ま、割のいい仕事があったらそれをこなしながら行こう。別にイズキは急いでいるわけじゃないんだろう?」


「まあそうなんだけどさ」


ロクな魔物が生息していないので、戦いに飢えているというのが正直なところだ。

魂の貯蓄はあるとはいえ、今のところ切り崩す一方で入手量は雀の涙。

いくらなんでも収支のバランスが悪いので早めに解消したい。


「なあクーラ、なんで人類の領域の魔物って弱いの?」


「ああ、それは瘴気がないからだよ」


「瘴気が? ……あ、なるほどそうか」


魔物を創造したのは邪神だ。

そして邪神の神気が瘴気なのだから、瘴気のない地域の魔物は必然的に弱体化を強いられる。

いやむしろ6大神の神気が原因で弱体化しているとした方が、正解かもしれない。


「じゃあダンジョンの中の魔物も弱いのか?」


「いや、それがダンジョン奥の方は魔物がかなり強力だと聞くよ。人類基準だからどのくらいの強さかは分からないけど」


「そもそもダンジョンって誰が作ったの? 邪神? それとも6大神?」


「それも分かっていないんだ」


ダンジョンという存在は邪神の趣味っぽい。

しかしそれが人類の領域にしかないのが不思議だし、たった3ヶ所しかないのも少なすぎる気がする。

邪神ならもっと各地にまんべんなく配置するだろう。


「おっと、次の街が見えてきたね。まだ日が落ちるまでだいぶ余裕がある。少しペースが早かったかな」


「いや、結構ゆっくりだと思うけど」


「そう? まあイズキに無理がなければそれでいいけど」


次に立ち寄る街は、この辺りでは比較的大きな街なので、しばらく滞在して仕事を探してみることにした。


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