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33.チートさんマジチートだから困る

結論から言えば、まったく問題はなかった。

なにせ相手は推定ボスがレベル18、残りふたりはそれ未満の雑魚である。


殺すわけにはいかないので、剣を抜かずに【格闘】でブチのめした。


俺の想定だと野盗の命乞いや隠し財産の在り処を取引材料に交渉する流れだったのだが。

なんでこいつら俺に襲いかかってきたんだ?


見た目が11歳なのが悪かったのだろうか。

確かに外見は子供だが、魔法連打されて一方的に部下を失ったというのに実力差を見誤ったとでも?


もしかして魔術師ってのは近接戦闘ができないとか、そんな思い込みが人類にはあるのだろうか。


……確かに夜魔族は近接戦闘はからきしで魔術一辺倒だったなあ。


少なくとも母ニノンはそうだった。

ああいや、人狼族だって本来は近接戦闘一辺倒で魔術はからきしなのか。


つまりオールラウンダーな俺が例外か。


そりゃ野盗のボスも判断を誤るわけだ。

のこのこと魔術師が目の前に出てきて勝ち誇ってるんだから、襲わない手はない。


……まあどうでもいいか。


気絶したならしたで、やることがある。

情報を引き出すだけなら生かすのはひとりで十分。

なのに3人も生かしたのには理由がある。


さてここで突然ですが、【魂触】レベル5の実験を行います!


はい、まず材料は野盗が3人。

既に気絶したものを用意してあります。


ここにカンストした【霊視】と【魂視】で気絶した野盗を視てみると?


……なんと、樹形図が視えるではありませんかー!


そして視える樹形図に触れてみると?


……なんと、スキルを移動できるじゃありませんかー!


オウ、なんということでしょう。

【魂触】がレベル5になると他人の樹形図を弄れるようになるんですねー。

びっくり!


じゃあ早速、野盗のボスから弄ってみようかー?


俺の持っていない【斧Lv2】を俺の肉体ツリーに移動するよー!

え、他人のスキルを自分のツリーに移動できるのかって?


……できるからヤバいんだよこれほんとマジチート。


というわけでサクっと【斧】スキルを取得。

うわぁ、ほんとにできちゃったよ。


あまりのチートっぷりに我ながらドン引きである。


でも強さは正義なので、遠慮なくスキル奪っていきますけどね!


お次の雑魚野盗Aからは【弓Lv2】と【聞き耳Lv1】を奪う。


【聞き耳】は【聴覚】と被ってる気がするが、別スキルの効果は重複する可能性が高いので取っておく。

効果がなければ誰かにあげることもできるのが、このチートのチートたる所以だ。


さて最後の雑魚野盗Bが問題だ。

こいつは魔術を習得している。

しかも俺の魔術適性にない水属性だ。


水属性の下級基本魔術〈ウォーター〉を俺の魔術ツリーに移動する。


……うわ、あっさり成功したよ。


一応、発動できるかも確かめた方がいいが、万が一にでも失敗して気絶でもしたら目も当てられないのでここは我慢。


雑魚野盗Bの習得している魔術は他に〈ピュリフィケーション〉と〈ヒーリング・ウォーター〉のふたつ。

これも自分の魔術ツリーに移動する。


更に雑魚野盗Bは〈ウォーター・スピア〉と〈グルー・リキッド〉を習得しようと涙ぐましい努力をしていたようだが、その魔術を魂を消費して取得してやる。

消費する魂は俺の保有するものだが、問題ない。

雑魚野盗Bが新たに取得した〈ウォーター・スピア〉と〈グルー・リキッド〉を俺の魔術ツリーに移動するからだ。


あっという間にスキル3つに魔術を5つも増やした俺は、用済みとなったボス以外の雑魚AとBにとどめを刺した。


そして部屋にあった水瓶を手に取り、中の水をボスの顔にぶっかけてやる。


「……ぶはっ!?」


「おはよう。ところで俺のキルカウントが11から13になって、遂にお前はひとりぼっちになったわけだが、何か言うことはあるか?」


「なん……だと……?」


ボスは気絶した間に殺されたふたりを見て、今度こそ顔面蒼白になり怯えだした。


そうそう、そういう反応を待っていた。


「で、お前らが商人襲って貯め込んでる金は、どこにある?」


「た、蓄えができるほど稼ぎはねえよ!」


「ほんとっかなー? 身体に聞いてみれば分っかるっかなー?」


「ねえ! ほんとにねえんだ! 全部女を買ったり酒代に消えちまうんだ!」


うーむ。

盗み聞きした内容からしてもこいつらにまともな蓄えがなくても不思議はない。

仕方ないので、情報収集に移ろう。


「ま、じゃあそういうことでいいよ。……でさ。俺みたいなガキが街で稼ごうと思ったら、お前ならどんな仕事を選ぶ?」


「は? なに言って……」


「質問の通りだよ。職探しだよ職探し。お前らみたいなのを殺して回ってもさ、大した金にならないし。街でならなんか他にいい仕事がないかと思ってね。参考までに聞いとこうかな、と」


「…………」


ボスは必死に生きる目を探しているのか、慌ただしく視線を巡らせている。


……さて、どんな答えが返ってくる?


「さて、どうかな。お前の頭で、何か俺にとって有益な情報を提供、……できるかな?」


「ま、待ってくれ。あんたは街で雇われてるわけじゃねえのか? その魔術や腕っぷしで……」


「うーん。どちらかと言えば誰かに命令されるのは好きじゃないなぁ。もっと自由なのがいい」


「……そんなのは、あー、そりゃダンジョンにでも潜るしかないんじゃ――」


「へえ、ダンジョン! いいねえ、そういえばダンジョンなんてもんがあったか!」


知らんけど。


「この辺りにあるのか、ダンジョン?」


「はあ? そんなもんあるわけ……ってなんでお前、迷宮都市のことも知らねえんだ。お前、何者だ?」


どうやら野盗のボスは俺の正体に気づいてしまったようだ。


「お前が知る必要はない」


剣を抜き、〈疾風刃〉で首をはねた。


しかしダンジョンか。

魔物がいたり、宝箱があったりするのかね?


強くなるのにも便利そうだし、金も稼げそうだ。

迷宮都市と言っていたな、この辺りにはないらしいが、目的地は決まった。


さて早速、……と一応、その前に家探ししとこうか。


結果、床板を剥がしたところに金貨の入った小箱を見つけた。

戦利品はそれと、野盗の小汚い衣服と、連中が個人で持っていた銀貨や銅貨だ。


念願の現金も手に入ったし、迷宮都市に出発だ!


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