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32.結局テンプレさんに頼ることになろうとは

人類の領域に入って、何日目かの夜が過ぎた。


未だに街には入れず、人との会話もしていない。

せっかく入ったものの、人類に取り入る手段が皆無なのが痛い。

ちょっと考えなしだった、反省している。


ついテンション任せで来てしまったが、考えてみればヤニック司祭に助言を受けていたことを思い出した。

夜魔族ならば異性を籠絡する、というあれである。


今の俺には無理だが、本来はそのような手段をもって初めて人類の街に潜り込むことができるのだ。


……俺には武器が足りていない。


足りていないものはどうしようもない。

考えても増えるものではないから、サクっと解決することにした。


人類狩りだ。


否、野盗狩りだ。


そう、俺は遂に野盗を発見してしまったのだ。


臭い体臭に鉄錆の匂い、10人ほどの集団が街道から外れた廃屋のような小屋でたむろしている。

見張りらしき人員が定期的に街道を監視していることから、野盗の類いだと判断した。


【聴覚】で拾える限り、会話はやれ女がどーとか金がどーとか、酒が足りないだのロクなことが聞こえてこない。

次に襲う予定の商人はいつくるだの、ブラック確定な発言も耳にしたから、もうこれ襲っちゃっていいんじゃないかな。


というか襲いましょう。

けってーい。


というわけで襲う算段を立てる。

さすがに約10人をひとりで相手取るのだから、奇襲からの殲滅になる。

とはいえ情報も欲しいので全滅させるわけにはいかない。


厳選に厳選を重ね、俺は生かす3人の野盗を決めてから、【人化】した。


さあ、イッツァショータイッ!!


まず手始めに3WAY化した〈マジック・アロー〉を理性ツリーの下に移動し、必要諸元を入力して小屋に放り込む。

3本の矢は普通に撃てば1体の対象に違う角度から襲いかかるのだが、理性ツリーの元では3本の矢は3体の対象にそれぞれ追尾できるように効果を変えることができる。


これを2回、撃ち込む。

できれば3回、撃ち込みたい。


窓から撃ち込まれた魔法の矢に野盗たちはパニックになり、慌てて武器をとるも敵は外。

というか誘導性能をもつ〈マジック・アロー〉が正確に3人にヘッドショットを決め、窓からは更なる三矢が追加されて、更に3人が死ぬ。


もう小屋の中は阿鼻叫喚だ。


相手がトロかったため結局、3回撃ち込むことができてしまった。

9人を殺し、3人を無傷で残した。

なお街道に見張りに行っている連中は既に処理済みなので抜かりなし。


俺は意気揚々と小屋の扉をブチ開けて、


「ようチンピラども、命が惜しければ蓄えを全部出せ」


華麗に登場してやった。


無傷の野盗3人が唖然とした顔でこちらを見て、首を傾げた。


反応が芳しくないようなので、


「どうした。チビって声も出ねえのかチンピラども」


煽る。


……。


…………。


「おい、何とか言えよ」


「……あー、なんだ。お前は、その、魔法の矢を撃ち込んできた奴の使いっ走りか何かか」


「違う。俺が魔法の矢を撃ち込んだんだ。そこんとこ間違えるなよ」


「じゃあ、何か。俺たちはガキひとりに9人も殺されたってのか?」


俺は「そりゃ違う」と言ってやる。


「街道にお出かけしている2人も合わせて11人だぜ」


「はぁん、なるほどなあ」


妙に落ち着き払っている推定野盗のボスが、顎を撫でながら俺を品定めしている。


「言っておくが交渉の余地はないぞ。残った3人、皆殺しにした後で家探ししてもいいんだからな」


「はン? ひとりでのこのこ現れた魔術師がナニ言ってやがる!? テメエら、やるぞ!!」


あれ、向かってくるの?

完全に計算違いなんですけど。


斧を手に手に、3人の野盗が襲いかかってきた。


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