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3.魔族に生まれました

生まれ落ちた先は魔族の赤ん坊だった。


生首は邪神なのだから、その眷属に生まれるのは当然のことだったのかもしれない。


両親が俺を覗き込みながら、笑顔で何かを語り合っている。

当然、日本語ではないから何を話しているのかは不明だ。

分かるのは両親が不仲ではなさそうだ、ということくらいか。


母親は人間に近いが、雄山羊のような捻じ曲がった大きな角をもち、背中にコウモリのような被膜の翼を持っている。

また矢印のように尖った尻尾もある。

美しい顔立ちに、男ならば無意識に視線を注がざるを得ない主張激しい大きな胸。

露出の多めの服装は温暖な気候だから、というわけではなくそれが種族の特性だからだろう。

この色気ある母はサキュバスとかそういう類の種族だと思われる。


父親は分かりやすい。

口の中にある巨大な八重歯と、獣の耳に、尻尾。

形状から察するに狼だろう。

ワーウルフとかそういう類の種族なのは間違いない。


ちなみに俺は父親と同じ種族に生まれたらしい。


まず尻尾だが、形状は父親と同じ狼型。

人間の耳はなく、頭の高い位置にあるから、きっと同じように形状は狼型なのだろう。


鏡を見るまでもない。

というかステータスを見れば分かるはずだが、残念ながらステータスは現地語表記で、開いてみても読めなかった。


ただ邪神の加護で得た魂の分配システムは、日本語で表記されているので、こちらでステータスの詳細だけならば把握できる。


ステータスはホロウィンドウに箇条書きになっているだけだが、邪神の加護は違った。


邪神の加護を起動する。

肉体、精神、魂というみっつの頂点を持つ複雑な樹形図が立体映像として現れる。


肉体からは、筋力、器用、敏捷、感知、生命力に枝が伸びている。

そして感知からは更に【聴覚Lv1】【嗅覚Lv1】【夜目Lv1】に枝が伸びているが、これは恐らく種族特徴だろう。


精神からは、理性、感情、記憶、第六感、魔力に枝が伸び、第六感からは更に【霊感Lv3】に枝が繋がっていた。

確か前世の霊感は引き継がれるという話だった。

レベル3がどの程度のものなのかは不明だが。


魂からは無銘の霊刀と邪神の加護のふたつに枝が伸びている。

無銘の霊刀からは更に【刀Lv5】【不死者特攻Lv10】という高レベルのスキルが連なっている。

【刀】は刀を使う技量を表すスキルのようだが、どうやら無銘の霊刀を使うときにしか発揮されないらしい。


また樹形図の外側に貯蓄した魂の総量が記されているが、当然ながらこれはまだ0だった。


樹形図には取得可能なスキルなどが全く配置されていない。

何らかの前提条件を満たす必要があるのか、魂を得ていく過程で増えていくのかは不明だ。

だからこの世界にどんなスキルが存在しているのか、まだ分からない。


……両親が俺を大事に育ててくれそうだし、焦る必要はなさそうだけど。


赤ん坊では無銘の霊刀を振るうことはできないから、できれば魔法などを使えるようにしたい。

しかし魔力の先には何もないし、そもそも魂がないのだからスキルの取得も無理だろう。


……当分はお乳を飲んで寝るだけの日々だな。


加えて言語を聞き取れるように耳を傾け続けるくらいか。

出来るだけ早く言葉は覚えたい。


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