29.慎重なのは悪いことじゃねえけどさ
野盗など来なかった。
結局、道を辿った先は軍事施設らしきものでどう見ても民間人立入禁止なのでスルーした。
そりゃ砦と軍事拠点の間に野盗が生息しているわけがない。
相手は確定で軍属なのだから、実入りはともかく命が危ない。
お腹も空いてきたし、早めに入れそうな街に目星をつけておきたいのだが。
【嗅覚】をフル稼働させて、道を横目に走る。
魔物も駆除されているのか、なかなか遭遇できないのだ。
どうにも魔族の領域と勝手が違う。
石を投げれば魔物に当たる、食うに困らない世界が懐かしい。
さて人間族が見たら「やっべーなんか凄い勢いで走ってる子供がいる!」とか噂になりそうな速さで移動し、道の先まで来てみたわけだが。
我、遂に街を発見せり!
訂正、辺境にあるひなびた村というべきか。
魔族の集落と遜色ないので、あんまり嬉しくない。
入るのは楽そうだが、入ったところで得られるものもなさそうだ。
まだ魔物狩ってないから換金できる魔石がないし。
そうなると服も買えない。
だいたい、怪しげな子供がひとりで辺境の村にやって来るとか、それ魔族の侵入が疑われる事案にしかならんだろう。
村に入るのは諦めて、次へ行くことにした。
さあ本格的に空腹を訴え始めた胃袋に応えるため、さっさと進もう。
村からは魔族の領域方面以外に、ふたつの道が伸びている。
ここは太い方を選ぶべきだろう。
国境との物資の行き来を考えれば、途中でどこか大きな街に辿り着けるはずだ。
というわけで、突っ走りまーす。




