27.文明あるじゃん!?
ステータスを見ると、11歳になっていた。
おいおい、1年も放浪していたのかよ俺。
相変わらず【完全獣化】しっぱなしのままである。
さてなぜステータスを開くなどということをしたかというと、実は魔族の領域の端に辿り着いたからだ。
つまりここは、人類との国境である。
ここまで魔族の集落を避け続けてきたわけだが、人間族の匂いは知らなかった。
国境にはなんと砦が建造されており、久々に文明を見た気分だ。
魔族の集落にある建物はほぼ木材で出来た家だったし、唯一石造りだったのは小さな神殿くらいのものだ。
それがいきなり巨大建造物を目にしたのだから、驚きはひとしおである。
【望遠】で砦を観察していると、武装した見張りが交代で魔族の領域を警戒しているのが分かる。
……どうにか通り抜けられないものか。
ここまでビーストモードに任せてきたが、さすがに飽きていた。
何も変わらない日常ってのは、つまり昼夜関係なく魔物を狩って走るだけなのだ。
そりゃもう1週間くらいで飽きて、1ヶ月も過ぎた頃には悟りを開く勢いであった。
それがここにきて人生初の人類との遭遇である。
そりゃもうテンション爆アゲ、これはもう人類圏に行ってみるしかないでしょう?
さて、砦を一昼夜ほど観察して分かったが、人類側への侵入自体は簡単だと分かった。
つまり砦を無視して天然の要害を渡って向こう側へ行けばいい。
狼の身体ならば無理はない。
というかむしろ楽勝感すらある。
問題は向こう側に着いてからだが、なるようになるだろう。
なんせ強さだけなら人間族が束になっても蹴散らせる自信があるし、逃げ足もオオカミ凄いのだ。
いざとなれば無銘の霊刀の【刀Lv5】と〈魂砕き〉の悪質コンボを繰り出せば、相手は死ぬ。
不安要素は防御面だが、不意打ち対策に【並列思考】をひとつ割いているし、五感は人狼族ゆかりの【聴覚】【嗅覚】【夜目】の三点セットもある。
更には【完全獣化】を解けば【並列思考】がひとつ余るので、これを睡眠に割けば不眠を維持できる。
【直感】もあるし割と隙がない気がしてきたぞ。
問題は神殿に近づけないことと、風俗や習慣が分からないことくらいだ。
まあ悩んでても仕方ないし、ものは試しってことで。
早速、行ってきます。




