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スキルツリーをぶっ壊すチートな邪神の御子さまは、いずれ最強になられるお方です。  作者: イ尹口欠
幼少時代は所詮チュートリアルに過ぎない

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25.無責任上等

本日2話目の更新です。前話をまだ読んでない方はご注意ください。

「弟の集落が魔物に滅ぼされたことは分かった。今後のことは心配せんでいい。全てワシに任せえ」


西の集落の長は憔悴しきっていた俺たちを暖かく迎え入れてくれた。

親無し子となった俺たちは、集落全体で面倒を見てくれることになり、俺はようやく人心地ついたような気がした。


集落に着いた日はゆっくりと休ませてもらい、次の日は集落の中を案内してもらい、夜は集落の者たちを紹介されながら広場での食事会となった。

まさにお祭り騒ぎ。

食事は豪勢に振る舞われ、酒も大盤振る舞いの様子。


俺たちはやや肩身の狭さを感じながらも、この集落でこれから世話になっていくのだと、ひとりでも多くの仲間の顔と名前を覚えようと必死だった。


だが心の何処かで、俺は違和感を感じていた。


……どうしてこんなに笑顔で溢れているのだろう。


まるで縁起の良いことでもあったみたいじゃないか。


そんなモヤモヤしたものを抱えながら、ふと耳にした言葉が俺に彼らの現実を教えてくれた。


「集落ひとつ丸ごと滅ぼす魔物と言や恐ろしいが、それも邪神の御子様がひとりで倒しちまったって話だ。いやあウチの集落に邪神の御子様がいらっしゃるだなんて、大した話になったもんだ」


そう、彼らにとっては隣の集落の話。

所詮は他人事。

災厄は既に終わった後。


……めでたいに決まっているじゃないか。


急激に気持ちが冷え冷えとして、この集落にいる魔族らの顔も名前もどうでもよくなってしまった。


俺はひとり、お祭り騒ぎを抜け出してから邪神の加護を起動する。

ヒュドラと、アンデッドと化した狩人たちと、神殿にいた人たちの魂が大量に溜まっているのは分かっていたことだが、改めて数字にしてみると異常な量だった。

俺は取得せずにいた【完全獣化】を取得して、起動する。


予想違わず完全に狼の姿になった。

周囲に服や荷物が落ちていないか探してみたが、何も見つからない。

どうやら元の姿に戻ったときには身につけたままの状態で戻れるらしい。


……便利なものだな。


今はどうでも良かった。


俺は集落の灯りを背に、暗闇に向けて走り出した。


風を纏い、みるみるうちにスピードが出る。

灯りは背後に消え去り、草木の匂いと自然の音しか聞こえなくなった。



そうして俺は、そのまま振り返ることなく、二度と集落に戻ることはなかった。


これにて幼少時代は終了。次章は少年時代となります。

次回更新は5月7日の予定です。

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