133.ついてきてくれ
さてコルニとミレーヌを連れて他の惑星に行くことは決定だが、そのことをふたりにまだ伝えていない。
迷宮都市に戻った際にはセクレタリと霊刀を見て平静でいられなかった様子だから見送ったが、話しておかなければならないだろう。
「コルニ、ミレーヌ。話がある」
「……浮気者がなにか言ってるよ、ミレーヌちゃん」
「……浮気者がなにか言ってるね、コルニさん」
「おおおい……」
ガックリとうなだれて見せて、俺は思わず「勘弁してくれ」と呻いた。
「説明しただろ。別にそういう関係じゃないって。確かに後のことは分からないけど……」
具体的にはセクレタリについては、彼女から求められれば応じるしかないと思っている。
恋愛の神格は伊達じゃないのだ。
抗う余地など恐らくないのなら、諦めて白旗を上げるしかないだろう。
「ほら! そういう関係になる可能性があるって自分で言ってるじゃないの!」
「そういう話をしに来たんじゃないんだ。俺はこの世界を去る」
「……はへ?」
「だから、それにふたりともついてきて欲しいんだ」
「え、どういうことイズキ?」
混乱するふたりに神のなんたるかを教える。
ふたりは「ちょっと話についていけない」といった表情をしていたが、このままだと置いていかれるという部分については正確に理解してくれていた。
「つまりよくわからないけど、遠くに行って戻ってこないからあたしたちを連れて行きたいってことね?」
「なら答えはひとつ。もちろんイズキについていく!」
「ありがとう。これで懸念は解消できた。ふたりに断られたらどうしようかと思ったよ」
コルニとミレーヌが来てくれるなら、もうこの世界でやり残したことはほとんどないと言ってもいいだろう。
俺はガイアヴルムに挨拶に行くことにした。