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13.幼馴染との付き合いも大事だよね

湿地を泳ぐカエルに槍を突き刺す。

カエルは毒々しい青色だが、見た目に反して焼くと美味であり、今日の主な獲物なのだった。


今日は狩りではなく休日だ。

狩りに出るようになってから幼馴染の5人全員が集まるのは久しぶりのことだった。


水辺を狩り場にしている蛸女族のミレーヌとはなかなか会う機会がなかったが、順調に腕を磨いているらしい。

レベルは11と5人の中では一番高く、手にしている槍というより銛の扱いも慣れが感じられる。


度々狩りで一緒になる天風族のジュゼットはレベル10。

森に狩りに行く中では一番レベルが高かったので、ミレーヌにも会う前から自分の方がレベルが高いと思っていたらしい。

内心を伺うことはできないが悔しかったのだろう、カエルを探す目は水面を睨んでいるように見えた。


牛人族のマクシムと多腕族のナタンは揃ってレベル9だ。

狩りの獲物の数はジュゼットとそう変わらないので、ジュゼットのレベルがひとつ高いのは俺のゴースト狩りの恩恵を受けているからだろう。


そして俺はといえば、スキルに魂を注ぎ込んでいるがなんとかレベル8をキープ。

他の面子と差がありすぎると不審がられるかもしれないし、戦力としても差があるとやりづらいので何とかレベルにも気を配っている。


とはいえ先日、叔父であるヤニック司祭に邪神の加護でレベルアップと引き換えにスキルを取得していることを話したので、レベルが低いことを気にする理由はなくなったのだが。


さて今日は休日なのでピクニックがてら湿地にやって来ている。

毎回陸地だとミレーヌが不便なので、たまには水辺で遊ぼうということになったのだ。


そもそもミレーヌが毎度わざわざ陸地までやって来ていたのは、俺がガリ勉していたせいらしく、そういえば毎回、俺は勉強中に彼らに呼ばれて家を出ていることに気付かされた。

というか言われて初めて、気づいたのだった。


湿地は集落からそう離れていないが、れっきとした集落の外である。

狩りに出ることを許されていない年齢では出かけることのできない場所だ。

もちろん全員、武装してのピクニックだ。


とはいえ湿地の危険度は低い。

ミレーヌら水辺の狩人たちが魔物を狩りまくっているというだけではなく、危険な魔物が出現した場合は優先的に狩人たちが差し向けられ討伐されるからだ。

それは森も同じことだが、だから集落の近辺で危険な魔物と遭遇することはまずない。


「う~、やっぱ翼が濡れるの気になる」


ジュゼットは背中をしきりに気にしている。

やはり羽根が濡れると飛びにくくなるらしい。


天風族、というか魔族や魔物、それに人類の鳥人族もそうだが、翼のある生物は大抵、航空力学を無視して魔法で飛んでいる。

それでも翼が濡れるなりして重くなると飛びづらくなる、という現象が起こるのは、魔法で根本の物理法則を捻じ曲げているからだ。

物理法則的に飛びづらくなる要因が加われば、魔法による飛行も同様に飛びづらくなるということらしい。


「やっぱり湿地は駄目だった? 私は足が水に浸かっている方が落ち着くんだけど」


「いや、いつも不便かけてるのはこっちだし。ミレーヌは毎日これだったと思えば……」


滑るように移動するミレーヌに、ジュゼットが慌てて翼を振った。


「俺たちは別に湿地でも不自由ないけどな」


「このカエル、新鮮なうちに食べるとまた格別らしいよ」


ナタンとマクシムは湿地でも不便はないようだ。


「イズキは、大丈夫?」


「俺? ああ、別に平気だな」


尻尾が濡れて重くなるくらいだが、大して違和感は感じなかった。


「それよりミレーヌ、レベル11ってどんだけ狩りに出てたんだ? 獲物の数じゃなくて頻度だよな、この差って」


「う~ん。私は2日に1回、狩りに出てただけだけど」


「1日おきか……そりゃレベル差も出るな」


俺たち森の狩人組は2~3日に1回の頻度で狩りに出る。

なか2日空けることの方が多かったから、狩りの回数は結構な差になることだろう。


俺たちは自分で獲ったカエルを焼き、家から持ってきた果物や野菜などを持ち寄って昼食にする。


食後はゆっくりとお互いの近況など雑談をしてから、また水遊びに戻った。


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