129.自由奔放さん回収
荒野の遺跡の中で、青白い刀が一閃された。
すると中の亡者どもはピタリと動きを止めると、一瞬の後にチリと化して消滅する。
「相変わらず見事な腕前だな、無銘の霊刀」
「……む、八神泉樹か。何の用だ? 私は忙しい、手短に頼む」
「アンデッド狩りに精を出しているようだが、その勢いだと狩り尽くすぞ。この惑星じゃ、もうアンデッドは生まれない。ヴィータボロスは輪廻の輪から手を引いた」
「…………そうか」
特に何の感慨もない、と言った風に霊刀は応えた。
「あーそれでなんだが、俺が新しい惑星を管理する際には、わざとアンデッドが生まれるようにしようと思うんだが。どうだ、戻ってくる気はあるか?」
「……随分と神らしいことを言うな、八神泉樹」
「ガイアヴルムが復活したんで俺もお役御免だ。そしてどうやら奴は、俺にも惑星を管理させたいらしい」
「そうか。あの御仁も復活したか……」
少女のカタチをした霊刀は、目を遠くにやり「分かった」と言った。
「お前についていくことにする。この惑星の歪みを狩り尽くした後。己の存在意義はまたも失われることになるだろうからな」
「ああ、一緒に来てくれ、無銘の霊刀」
「あい分かった。そなたについて行こう八神泉樹」
俺の中にはもう戻る気はないのだろう。
少女のカタチをした霊刀を連れて、俺は拠点に戻った。