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127.復活

ななつの封印が揃った。

封印を解くために必要な術式などは特にない。

ひとところに封印が揃えば、ガイアヴルムならば勝手に出てくることができるからだ。


……その程度のチカラはあるんだよなあ。


実物を見るのは、あの転生前の夢のとき以来になる。

今は神気を感知できるし、実力の程を見計らうことができるのだが、さて奴は一体どれほどの実力者なのだろうか?


ななつの封印は共鳴するかのように不気味に胎動しながら、やがてビシビシとヒビが入り始めると、濃厚な神気と気配が漂い始めた。


……来る。


ガシャン、と同時にななつの封印が割れ、モヤのような神気の中に、あの黒髪で紫色の肌をした偉丈夫が現れた。

ガイアヴルム。

邪神、いやかつては魔神と呼ばれしこの世界の神だ。


「いや、予想以上にことが運んだようだね。イズキ、君には感謝している」


「手の平の上で踊っている気分だったぜ。だけどまあ、なりゆきだ。復活おめでとう」


「ありがとう」


ガイアヴルムの実力は……正直なところ視えない部分も合わせてだいたい俺と互角といったところか。

希望的観測、つまりセクレタリとランドルフを味方にできれば、勝てない相手じゃない。


……まあ別にガイアヴルムと戦いたいわけじゃないけどな。


それでも油断ならないのは確かだ。

結局、俺は奴の望みを叶えてしまった。

六大神を殺して封印を解いてしまったのは、奴の思惑通り。

まんまと踊らされた格好になったわけだが、……。


「お久しぶりでございます、ガイアヴルム様!」


「お久しゅうございます。ああ懐かしいわ。千年以上も地下にいた甲斐もありましたね」


アルフレートとエレオノールが感極まった様子でガイアヴルムに(こうべ)を垂れる。


「お前達には苦労をかけた。だがその苦労ももう終わりだ。地上は我らが魔族が支配圏を広げ、やがて魔の時代がやってくるだろう」


ガイアヴルムが薄く微笑んだ。

気持ちの悪い笑みだ。


「待てよ、ガイアヴルム。まだヴィータボロスが残っているぜ」


ランドルフが遠慮がちに言った。

神になった挙げ句、主人を俺とした主従契約を結んでいるから、なんとなく距離を感じるらしい。


「ああ、ランドルフ。神になったのだね、おめでとう。イズキとの契約も気にしなくていいよ。元々、君たち竜は神になるために育てていたのだから」


ガイアヴルムはそして、告げた。


「それからヴィータボロスだけど、彼は最初からこちら側だから安心してくれ。早速だけど、会いに行こうか」


「…………は?」


俺は思わず首を傾げてしまった。

ヴィータボロスが最初からガイアヴルム側だった?


「おい、最初っていつからだ」


「ああ、誤解しないでくれよ。最初というのはイズキをこの世界に転生させた時からだ。私が封印されたときには明確に敵だったよ」


「……じゃあヴィータボロスを倒してくれるのを期待しているって話は?」


「結果的には六大神を倒して、ヴィータボロスが残ったね。私たちの方も成り行き任せではあったけれど、結果は上々だったということさ」


どうなってもガイアヴルムの復活は既定路線で、その間にヴィータボロスとの戦いがあるかないかは賭けだったわけだ。

いやこの口ぶりからするとガイアヴルムにとっては「こちら側」ではあるが、別にヴィータボロスの生存は必須ではなさそうだ。


「では行こう。あの惑星の輪廻を司る中心地できっと待っているだろうよ」


ガイアヴルムが言った。

さあ、最後の侵略神とご対面だ。


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