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スキルツリーをぶっ壊すチートな邪神の御子さまは、いずれ最強になられるお方です。  作者: イ尹口欠
青年時代は神々と踊る

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108.ズルいやり方ですまんな

【夢魔】でコルニの夢の中に入り、ミレーヌも招き入れた。


「あああー!! 思い出した、地獄の特訓!!」


「え、なにここ」


ミレーヌは戸惑っているようだが、女性陣と落ち着いて話をするなら外部の目や耳のない夢の中が確実だろう。

自分の首を絞める結果になるかもしれないという心配もあるが、……まあそのときはそのときで。


「【夢魔】だよ。俺は夜魔族のスキルも使えるから」


「えええ……そうだったの?」


「私はイズキくんに【夢魔】でさんざん、弄ばれたのよ!!」


「弄ばれた……?」


こらコルニ、わざと紛らわしいこと言ってミレーヌを煽るな。


「投擲の特訓に使っていたんだよな、懐かしい」


「ちょっとイズキくん、ネタバレ早いよ!」


「なんだ。ここなら妊娠しないで、し放題だと思ったのに」


ミレーヌ、いつの間にか随分と過激な発言をするようになったなあ。

そりゃ15歳ならこの世界じゃ一人前だし、女性なら結婚して子供がいてもおかしくない年齢だが。


「そういえば知らなかったんだが、蛸女族って【人化】できたんだな」


「そうだよ。イズキは知らなかった? 私も夜魔族と同じく、男の人から精気を吸うことができるって……」


「エロ魔族だったのか、それは知らなかった。そう言われると触手だもんな、……なんか納得したぞ」


「え、うん……」


なんかミレーヌが落ち込んだぞ。

俺が何かマズいこと言ったか?


「イズキくんは女心を分かってないなー!」


「教えてくれコルニ。俺は女心なんて百年経ってもきっと分からないままだろうから」


「ミレーヌがそういう種族で人類の領域にいるってことは、そういうこともあったんじゃないかって想像つく? それについてどういう感想もった? 嫌だと思ったり嫉妬したりしなかった?」


「ああ、そういうことか」


なるほど、ミレーヌが男をねえ。


……想像もつかんな。


ミレーヌにまつわる最後の記憶は10歳のときだし、最初に遊ぶようになったのは5歳くらいか?

子供から大人への成長段階をすっ飛ばして再会しているから実感が湧かない。


「……想像もつかない、としか。もしそういうことをしていても、そういう種族ならそういうこともするか、程度だな。俺自身、【夢魔】とか便利使いしているし」


「イズキくんは健全な使い方しているからねえ……それとも私が知らないところで行きずりの女性の夢に入ってたりする?」


「しないな。そもそも俺は夜魔族のスキルが使える人狼族だったわけで、夜魔族じゃない。その手のスキルも取得はできたがしなかったし。11歳だったしな」


「空白の4年間はどうだったの?」


「俺以外には竜か魔物しかいなかった環境だぞ。帰ってくるために色々と必死だったし、何をどうしろというんだ」


「そ、そうか……大変だったね」


まったくだ。

空間魔術についてランドルフからレクチャー受けたり、竜の形質以外にも炎の形質も取り込んで炎の支配者に昇華させたり、ダンジョンの魂の流れを正常化して輪廻の環を再現して、原初の理を擬似的に自作して……。


ほんとよく帰ってこれたもんだ。


おっと感慨にふけっている場合じゃない。


「ふたりと夢で会うのは希望を聞いておきたかったからだ。【夢魔】での記憶は【夢魔】の中でしか引き継げないけど、ふたりがもし俺と添い遂げたいというなら、こちらも覚悟とか必要だし、卑怯だけど予め聞いておこうかな、と」


「なにそれ直接聞くの!? ……卑怯!!」


「……イズキ、それは希望を叶えてくれるっていうこと?」


「それは……まあ希望するなら、という話になるが」


ミレーヌはこの迷宮都市に来ていた時点でそういうつもりで来ているのだと思うし、コルニは連れ去った責任があるから本人が他に好きな人がいなければ俺がもらいうけることになる。

ほとんど確認のようなものだ。

しかしそれを現実でやる勇気がないので、卑怯とそしられるのも仕方がない。


「すまんな、ヘタレで」


80歳まで生きた記憶があって、こちらでの新しい生では思春期を遠い惑星で過ごすことになり、正直なところ男女の機微については整合性が取れないというか、理解が追いつかない。

理性的に理論的には理解できても、感情が伴わない。

だから最初に事実確認しておいて、感情は後から育てるしかないと思っている。


「とはいえ、すべて7柱の侵略神を殺してからの話になりそうだ。途中で死ぬかも知れないしな」


神は強敵だ。

十中八九は勝てると見込んではいるものの、勝率は100パーセントにはならない。


「……ならさ、そんな確認とかそういうのいらない。今すぐ、私をもらって」


「ミレーヌ。だが俺は戻ってこないかも知れないぞ」


「イズキくんはほんと分かってないなー! そんなの関係ないってことだよ」


ふむ、俺が死ぬのも考慮した上で一緒になる方がいいのか?

確かにそこは損得勘定はある程度、抜きで考えるべきなのだろうか。


「ミレーヌのことは分かった。コルニはどうだ。この4年で他に好きなやつとかできたか?」


「むぅ」


「やっぱりクーラ辺りか? 俺以外だと長い付き合いだしなあ」


「そういうのやめて。イズキくんがもう少し遅く戻ってたらそういう話になりそうだったのは確かだけど、それは私がふたりに恩があるから、受け入れざるを得なかったというか」


「ふむ。領主が未婚じゃ面倒そうだしな。家令のネルソンはクーラが魔族だって知っていたから、魔族のコルニしかアテがいなかっただろうし」


「そうなの! だから別にクーラさんとはそういう関係じゃないし、向こうもイズキくんが戻らないから仕方なくって感じだと思うし。ええと、もう! だから察してよ!」


その察するというのが難しいからこうして聞いているのだが。


「まあ分かった。そういうことなら、やっぱりコルニは俺が責任を取るのが筋だな」


「責任感なの!?」


「いや。正直なところ、俺が俺の感情を理解できていないんだ……だから感情の話は後からついてくるものだと思うんだが、そういう考え方は嫌か?」


「うぅ……そんなぶっちゃけられても、困るんだけどぉ」


「そのために【夢魔】を使ったんだ」


「ああ、現実じゃ覚えてないもんね。…………酷くない?」


「すまん。だが必要なことだと思うんだ。話さないと俺は分からないし、多分、分からないままにしたら最悪そのまま――」


「ああ! もう分かりました! いいよ、私はもともとイズキくんのものだもん! だから分からないままにして放ったらかしにされるのは嫌だからね!」


「あ、ああ。分かった。じゃあふたりとも、俺がもらうということで」


異世界転生して重婚とは、テンプレか何かか。

まったく我が事ながら元日本人としてどうなんだ。


……ああ、()だからか。


もう日本人ではないのだ。

俺は魔族にして竜にして邪神の御子。


なんだ、別に嫁や(めかけ)が何人いようが大した問題じゃない。


「イズキくん?」


「イズキ?」


「……? どうした、ふたりとも」


ふたりして「一体なにを笑っているの」と怪訝そうに俺を伺う。


「いやなに。少し開き直っただけだよ」


ふたりして居住まいを正して、髪をいじったりしだす。

別にこのままいたしてもよろしいのだが、さすがにふたり同時というのは抵抗があるな。


「今日は話し合いができて良かった。ふたりともお休み。また現実で」


「え? う、うん。おやすみなさいイズキくん」


「あれ、うん。おやすみイズキ」


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