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スキルツリーをぶっ壊すチートな邪神の御子さまは、いずれ最強になられるお方です。  作者: イ尹口欠
少年時代は自由にやるんでお構いなく

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101/135

101.激闘開幕!

「おいおい、数年どころか1ヶ月程度でそこまでになるものかよ」


最下層に降りて姿を見せると、レッドドラゴン・ランドルフは眠そうな目を見開いて言った。


「頑張って修行したからな。何年も掛けるつもりはない」


「……ハハハ! 竜だぞ? ドラゴン様だぞ? それを頑張って修行したから倒せる? …………舐めるなよ小僧!!!」


翼を広げ、強烈な威圧が襲いかかってくる。

しかし【精神異常無効】が正常に効果を発揮している間は、威圧なぞにひるむ俺ではない。


「別に舐めてなんかいない。万全に準備したつもりだよ」


「クソ、落ち着き払いやがって……オレの威圧にビクともしねえかよ!」


「当然だ。いちいちビクついてたら戦いにならないだろ」


「オレは竜だぞ! 神と戦うために竜化の儀式に臨み、命をかけて魔族から竜へと成ったこのオレが、いまさら竜の形質すらない魔族に踏み越えられるなどと、そんなことがあっていいわけあるかぁ!?」


「……知らないよ。それに竜化の儀式なんてしないでも、目の前にいる竜から形質を奪えば済む話だし。俺が竜になるのは、ランドルフに勝った後でいいんだよ」


「勝つこと前提で話をしているところ悪いが、いくらガイアヴルムの加護があろうとも、たかだか11歳の小僧に負けてなるものかよ!」


「御託はもういい。始めよう」


俺は腰の鞘から『百我』を抜き、無銘の霊刀を降ろした。

【刀】のスキルレベルは既に霊刀を越えた俺だが、それでも霊刀のもつ剣技の経験値は数字では表せない強さを秘めている。

だから霊刀のあるなしでは、霊刀を降ろした方が圧倒的に刀の技に磨きがかかるのだ。


【縮地】で間合いを詰め、一閃。


赤い血しぶきが舞う。

竜の鼻先に大したことのない切り傷を創っただけだが、それでランドルフはキレた。


「ガアアアアアアアアアッッッ!!!」


両翼の鉤爪が交互に振りかぶられ、竜の前面一帯を薙ぎ払われた。

雄叫びを上げた辺りで危険を察知して後方に逃れたが、ほぼノータイムで竜は灼熱の吐息を放って追撃にくる。


真っ白く視界を染め上げる炎のヴェールを抜けて、俺は再度接近して『百我』を振るい上げた。

左翼を斬り上げ、鉤爪を砕く。


「ギ、」


ランドルフの押し殺したような苦悶の鳴き声を無視して、【縮地】で周囲を駆け回り〈コールド・アンカー〉が付与された『鉤短剣』を竜の身体のいたるところに投げ込んだ。

投げて突き刺さり魔術が発動したものを〈アポート〉で手元に戻し、また投げる。


〈付与〉した本数以上の数を撃ち込み、空間の錨がレッドドラゴンをその場に張り付けにした。


「〈アブソリュート・ゼロ〉!」


絶対零度の魔術が叩き込まれる。


「〈アブソリュート・ゼロ〉!」


分子運動を停止させ、真紅の竜に白い霜が生える。


「〈アブソリュート・ゼロ〉!」


魔術を準備するための【並列思考-3】以外に、使途を定めていない【並列思考】がふたつあったため、〈アブソリュート・ゼロ〉は3発準備されていた。


真っ白に染まった竜が、しかし急速に身体の霜を蒸発させて蒸気に包まれる。

ダメージがなかったとは思わないが、魔術3発で倒せる相手でもない。


戦いは続く。


バチリ。


異音に警戒する。


バチリ。


音の発生源は〈コールド・アンカー〉で固定した竜の身体から。


……力づくで空間の錨を引き抜いているのか。


半ば呆れ混じりに感心するが、本格的に相手が動き出す前にもう少しダメージを与えておきたい。


「〈練気〉、――〈疾風迅雷〉ッ!」


格闘術〈練気〉により魔力で身体能力をブースト、然る後に新たに取得した刀術〈疾風迅雷〉を起動した。


バアァン! という音速を越えた音とともに一撃が竜の首筋を切り裂く。


攻撃力のある刀術が皆無だったと戦いになってから気づいたのはマヌケだったが、しかし実際に戦って必要なスペックの刀術をイメージできたので良しとしよう。

〈疾風迅雷〉は高速で接近し斬りつける刀術だ。

風と雷の複合属性の術であり、最大の特徴は連続で発動したときにこそ真価が発揮されるところにある。


「〈疾風迅雷〉、」


音とともに竜の足の爪を砕く。


「〈疾風迅雷〉、〈疾風迅雷〉、」


立て続けに胴体を2ヶ所、斬りつけた場所から血が舞い蒸気と混じって赤い霧と化す。


「〈疾風迅〈迅雷」


加速する。


移動と攻撃をセットにした〈疾風迅雷〉は、連続発動することで位置を変えながら攻撃を続けることができる。

そしてそれは徐々に速度を増していく。


「〈疾風〈迅雷〈疾風〈迅雷」


攻撃速度は果てしなく。

どこまでも竜の身体を斬り続ける。


「〈疾」


「いいかげん、止めろよその術」


バキリ、と嫌な音をさせて『百我』が折れ砕けた。


地面には赤い血の池ができあがり、もうもうと上がる湯気には赤が混じり、傷だらけの竜は静かに、しかし強烈な魔力の高まりを内に秘めていた。


……ここに来て、竜鱗の本領発揮か。


完全防御の竜鱗だが、神は神気でそれを貫く。

ならば竜はなすがままに貫かれるのかと言えば、答えは否。

魔力を高め、更なる防御力を高めることが出来るのが竜鱗の真価だ。


「……神相手じゃねえってのによお、まったく。ここまで一方的にやられるかね、普通」


新しい『百我』を抜き、無銘の霊刀を降ろす。


「魔族と侮っちゃいけねえな。11の小僧と侮っちゃいけねえな。――イズキ、お前は竜と戦うに値する戦士だ。だが驕るなよ、戦士。竜ってのはな、最強の生物なんだよ」


傷が塞がっていく。

完全防御を有する竜をしても、再生能力は当然の備え。


「いいぞ、お前。オレが本気で戦うに値するってのは神以外にはいないからな。お前はそれに匹敵するってことだからな」


みっつ、いや、よっつか。

レッドドラゴン・ランドルフの体内に巡る魔力の流れ。

それは上級魔術の準備だろう。


「いくぞ?」


来る。


「〈〈〈〈ヴォルカニック・テンペスト〉〉〉〉」


真っ赤な嵐が顕現した。


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