第4話 尋問と発見と絶望
少女は相手の技の真実を知る。しかし同時に、それよりも恐ろしい事実に気づいてしまう。
「グ、、、、、グリフォンじゃねーか、、、、」
自身の上空、それもほんの十数メートル先にいるのだ。魔獣の最上級が。こちら目掛けて
グリフォンとは、魔獣の中でも古来より人との関係が深い種族であり、魔獣の中でも大型に分類されるサイズ、炎のブレスを吐き出す嘴、あらゆる鉱物をいとも容易く切り刻む爪、その様な物を使わずとも堅牢な城を一晩で崩落させる膂力など、最上級の脅威度を誇っている。
少女は絶望する。しかし絶望の中でも少女はそれに活路を見出す。
(グリフォンが襲って来たどさくさに紛れて逃げる!!)
本人はいたって大真面目である。日本なら既に漫画やアニメ、小説などあらゆるメディアで
散々この方法が提示されている。
しかし先ほども言ったが少女は大真面目である。そして行動に移す
「おいお前! グリフォンが来てるぞ!早く逃げろ!」
しかし音自衛はそれに動じずこう答える
「これは俺の使い魔だぞ?」
ここで少女の絶望的状況をまとめる。
相手に拘束されており、相手はグリフォン使いであり、相手はグリフォンなしでも己より格上。
(無理無理無理無理無理無理!!!勝てるわけないじゃんこんなの!!!こんな事なら喧嘩売らなければ良かった!!)
「おい」
目を合わせ、音自衛が少女に問いかける
「ひっ!? 許してください許してください許してください、、、」
少女は非常に怯えた様子で、音自衛から目を逸らす
「なら質問に答えろ」
「わ、わかりました、、、」
「まず『能力者』ってのはなんだ?」
「魔法少女とは別に、『異能力』を持っている人の事です、、魔法少女に比べると数は圧倒的に多いですが、使えないような能力がほとんどです、、、、その中でも一握りですが稀に戦闘向きの『能力』を持つ人もいます、、、」
(興味深いな。おそらく俺の『不死』もこちらに含まれるのか?)
「魔法少女の探知ってのはどうやるんだ?」
「魔法少女同士が一定範囲に近づくと、お互いの位置がわかるようになる現象です、、、でも変身中しか反応しないので、、何もない時に変身するのはやめたほうがいいと、、、思います、、、」
最後はもう消えるような声で言っている。(そうか、むやみな変身はやめた方がいいのか、、)
頭の中で(変身解除)と言ったら元の姿に戻った
「あと最後に、」
「お前の能力は何だ?」
「(教えたく)ないです」
これだけは言うまいと誓っていた様子だが、グリフォンが一度爪を見せてくれたら教えてくれた。
「『胸筋の強化』です、、、」
(なるほど。物を投げる時に主に使うのは胸筋だと言われている。おそらくそれで超高速の投擲や、10キロもある鉄球を投げつけて来たという事か。)
「魔法少女は全員「己の体の一部分を強化する」魔法を持っています、、」
(確かに俺の『超握力』もこいつの『胸筋の強化』も体のどこか一部分を強化しているな)
「俺を襲った理由は?」
「魔法少女に目覚めて初めてバトルできそうだったので、つい、、、、、、」
(調子に乗っていた。という事か まあいい。あとは、、、、)
「グリフォン、お前って人食う?」
少女は己の運命を悟り、完全に気絶した。