狂った世界をご紹介
前書きは削除されました
「異世界間相互条約違反により、貴方の身柄を100億年、拘束します」
他の世界のバランスを完膚なきまでに破壊した転生魔王である彼は、異世界同士の相互干渉を見守る者たちの手によって捕らえられ、多重宇宙の果ての牢獄に投獄されることになった。
それから遙か未来
「出ろ。釈放だ。どこにでも行くがいい」
「…俺のいた世界は、どうなった?」
「情状酌量で減刑されたといえ、あれから80億年も経ったんだ。あきらめろ」
静寂が支配する巨大牢獄の入り口に、絶望とも悲鳴ともとれる声が響き渡った。
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狂撃の魔王 ReSTART
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複合使用される広範囲魔法ほど恐ろしいものはない
ある者は、風でかき回された一定空間に大量の刃を投入して都市をズタズタに切り裂いた
ある者は、水浸しにした都市に雷土の魔法を降らせ、感電によってあらゆるものを焼き尽くした
ある者は、大気を遮断するほどの防御魔法で都市を包み、その中に炎を大量発生させゆっくり焼き殺した
都市範囲での攻撃魔法の使用は大量殺戮につながるとして異世界間魔王協会により禁止されていたが、それでも目を盗んでそれを行うものがいる。
人間側も対策を立てるも、農村部のまで対策の手を伸ばすことなどできず、被害は時間と共に拡大した。
魔道の研究をしていた人間が力におぼれ魔王になることもある
異世界から転生してきた凶暴な人間が、異世界を理由に破壊を始めることもある
そういった細かいものをすべて把握することは不可能に近かった。
ゆえに、異世界間相互条約機構はそういった「管理外の魔王で破壊活動を主に行う危険な連中」を「狂撃」という隠語で呼んでいた。
「狂撃」に指定された魔王は、委細詳細関係なく消滅させられる。
異世界転生とかも関係ない、過去がどうであろうと「狂撃」は消される運命なのだ。
80億年前
異世界間を渡る方法を手に入れた魔王たちが相互協力し、宇宙の1/3を消し去ろうとした事件があった。
これに対抗したのが、異世界渡航技術を確立した「精霊」たちだ。
才覚を見抜いて転生させた勇者を導きながら、彼らの力を使い魔王を倒してきた。
事件が解決したのは、異世界間の魔王をまとめ上げていた最悪にして最強の魔王「ゾムド」を、精霊と勇者たちの力で消滅させた後のことだった。
だが彼はすでにこのことを予見していたのか、自分の技術を複数の世界に広めていた。
また、手にしただけで一瞬で魔法技術を取得できるような「秘宝」を残していった。
異世界間相互条約機構はそういった「超危険物」の回収に奔走していたが、すべてが回収できたという証拠はなく、今もゾムドの残した技術によって多くの世界が無意味に傷つけられているのだった。
それは、その世界に転生してきた勇者ですら例外ではなかった。
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これは、そんな世界で「失ったもの」を探し始めた「元魔王」の物語…
後書きは食われました