自分勝手
「ねえ、あの子達どこいったの?」
「…また遊びに行きやがったな」
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南24カントナータ地区
「っあ゛!!!」
「もー!お兄さん達がちゃんと教えてくれないからー!!
いっぱい来ても同じなんだから邪魔しないでよねー!!!!」
自分より一回りも二回りも大きい青年の頭をハンマーで振りぬいた『少年』は、そのまま同行者であるツナギの人物の傍に降り立ち、不満そうな口ぶりで話す
「ねえねえお姉ちゃん、あの建物から人全然来ないねぇ…なんで?」
「……………………………………………」
鳥のマスクを被り、表情を変えない『彼女』はスッ…と近くの建物を指さした
「あ、お邪魔虫発見っ♪!!!!」
少年は何かを見つけると人間とは思えぬ脚力で壁を蹴り上げ、屋根に隠れるように立っていた人影に急速に近づいた
持っていたハンマーを叩きつけるようと振り上げた瞬間、『何か細いもの』が目の前でキラリと光るのを見た
「っ!!?」
少年は飛んでいた体をわざと壁に当て、不明な物体を回避するように地面に転がった
「ってえな!!なんだよ今のォ!!」
「へえ…ガキにはこれで十分かと思って手加減してたけど、避けられるんだな」
「あ゛ア゛!?」
屋根に隠れていた人影が日向へと足を進める
「好き勝手暴れたようね…子供のイタズラにも限度があるのよ」
「遊ぶんならアタイとあそぼーよぉ!」
ゾクリ、と背後からあからさまな敵意を感じた
「っお姉ちゃん!!」
まずい、これではこちらが一方的だ
やり合いたいのは少年も同じだったが今回は『少々』訳アリなのだ
なぜなら…
「てめぇゲール!!!!!!勝手に何してんだぁ!!!!!??」
突然、張り詰めた空気を震わせるほどのすさまじい怒号が響き渡った
グランツが時計塔に目線だけ動かすと、闇に溶けそうな紫と藍の髪の男が二人立っていた
特にガスマスクを付けた男は、全身が沸騰するのではないかというくらいの怒りを全身で表すように震えていた
「わああああああ!!!!!リュゼ兄ちゃんごめんなさいいい!!!」
「ごめんで済むかこのバァカ!!!!」
「まあまあリュゼ、ここの修繕費の見積もりは取ってあるからさ…さっさとここから逃げないと、この人達から怒られちゃうよ?」
「…てめえもだデモン、コイツのわがままを聞くのも大概にしろ」
「……………………………………」
急に現れた二人の男により、一色即発の空気こそ流れたものの…依然としてADULTOに害な存在である事には間違いない
「待て」
「ア゛?まだ何かあるのかよ」
ガスマスクの男が暴れる少年の首根っこを押さえつつ、面倒臭そうにこちらを向く
その瞳には既にこちらへの興味は無いとでも言うような気だるげな感情が滲み出ていた
「お前達は何者だ
何が目的で私達を狙い、攻撃したんだ」
ガスマスクの男が一瞬ピタリと止まり、こちらを向いた
マスクでハッキリとは分からないが、その表情は笑っているようにも見えた
「…俺たちはMINORANZAだ
よぉーく、覚えておくんだな」
「また修繕費と治療費払っとくんで、じゃあね」
「あっ…」
言うだけ言い切った彼らはまるで嵐が過ぎ去るように消えていった
-物語に『はじまり』などはなく、『はじまった結果』だけが残されるのだ-
✕✕はジブンのことがワカラナイ
このフワフワしてぐるぐるするカンカクがそうなんだとネコがオシえてくれた
✕✕はコトバがわからない
サイショにもやしがシツモンをしてきたのにコタエられなかった
フシギなウタだとオモった
なぜかウタはワカルんだ
ムカシだれかが✕✕にウタってくれた