動き出した過去の産物
「ねえねえお兄さん
この人たちがどこいるか知らなぁい?」
-----------------------------------------------------------------------------------
政府直属聖騎士部隊『ADULTO』Rot中央本部
《外部妨害による報告・248》
「…今回の報告は以上だ。何か質問はあるか?」
ADULTO元帥大将【グラべオン・D・グランツ】
「…グランツ大将、アウラの奴がまた寝ているわ」
ADULTO第2中将【ラヴェンデル・K・リーベ】
「っんぁ?寝てないよ!!?」
ADULTO第5中将【ブレンデン・J・アウラ】
「えー?俺っちこの目でばっちし見てたけどなぁー?」
ADULTO第7中将【アーデル・V・オルデン】
「…おいデン、大将がまだ話してるんだから騒ぐなよ」
ADULTO第8中将【アーデル・V・ファイク】
「はははっ!!アウラお前口によだれ跡ついてんぞ!!」
ADULTO第1中将【ヴァルム・E・ファング】
「……………………………………」
ADULTO第4中将【ヴェーク・S・フォルト】
…ここに揃うのはADULTOの中核のメンバー
口を挟めるような兵は誰一人としていなかった
・ ・ ・
「…アウラ、お前作戦会議の中盤で寝てんじゃねーよ…今回お前の隊が中心で動くんだぞ?分かってんのか?」
ふざけてんなら殺すぞと翡翠色の鋭い目でグランツが言う
「そうだぞアウラ、アンタが倒れたら作戦の意味なくなるんだからね」
「はいはーい、ごめんなさいっと…」
コイツは本当に反省しているのかとリーベは頭が痛くなる思いだった
その時
固く閉じられていた会議場の扉が荒々しく開かれ、一人の一般兵が転がり込んできた
「ご報告致します!!!つい先程南58コンタディーノ地区にて襲撃を確認!!
襲撃した者は常駐兵が逃がしたものの、こちらに向かっているとの情報があります!!」
会議に臨んでいた全員の顔色が変わる
「コンタディーノ地区だと…?ここから10kmも離れて無いじゃないか!」
血相を変えて報告してきた兵に詰め寄るファングを抑え、グランツが冷静に聞く
「被害の状況は」
「はっ!!…幸い市場の二人の兵が襲われたのみで、一般人の怪我・死亡等の報告は来ておりません!」
「…そうか」
急いで来たのだろう兵に「下がっていい」と一言告げ、ふり向いた
恐らく『彼』の頭の中には襲撃者の処分や住民の避難先の確保など様々な事柄が渦巻いているのであろう
全員の視線を確認した彼は、静かに怒りを感じる口振りで言った
「私達に、国に歯向かう反逆者だ
ADULTOの名をかけても必ず、確保してここに連れてこい」
「「「我等はaruma」」」
「「「我等はscudo」」」
「ADULTOは神に愛された軍隊だ
襲撃した事を後悔させてやるぞ、馬鹿共」
-----------------------------------------------------------------------------------
「大きい建物だね?あれが"ほんぶ"ってやつなの、お姉ちゃん」
「……………………………………………」
「じゃあ、あそこにいるんだね
僕たちのうらぎりもの?さん達が!!!」
ーお前なんか嫌いだー
「そうか、私も嫌いだ」
ーお前はいつもそうだー
「そうだな、私もそう思う」
ー自分がないのかー
「自信が無いんだ」
ー自分が嫌いかー
「そうだな、大っ嫌いだ」
ーお前が嫌いなのはどっちだー
「どっちも嫌いだ
お前も、私だろ?」