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齢戦  作者: きたさん
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始まりの話

「なあ、あの時の俺

お前は今後悔しない選択をしたと言えるのか」


「…後悔なんてないよな

今を精一杯生きてるだけだもんな」

 西の果てに『Rot()』と呼ばれる一つの国があった

 国民の3割が貴族と政治家

 6割が平民

 1割が貧民という、どこにでもあるありふれた国だった


 ある日、貴族の中から「貧民を救いたい」という思いを持った若者が現れた

 その若者は、貴族の立場ながらも階級に対する差別を嫌う心優しい青年だった

 そんな強い志を持った青年の元には、同じ志を持つ若者が数多く集まった

 貧民から商人まで幅広く集まった彼らは、1つの団体として結束した


SPEICHERN(全てを救う者達)


 20歳未満の若者たちが集う、この国の新しい希望だった


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 彼らはまず、自分達が見てきた『差別』を潰す事から始めた

 ある時は違法な人身売買を繰り返す団体に殴り込み、奴隷として扱われていた子供達を救った

 またある時は国境で起こる小さい争いを収めに、自らの武器を手に取って戦った


 全ては弱き者、この国の未来を救うため

 彼らは自分達の行いを信じ、誇りに感じていた


 月日が経つと十数人だった彼らに仲間が増え、組織と呼ばれるまでに成長した

 全ての人間に平等を

 貧民も平民も貴族も関係ない国に

 彼らの活動を見た政府も流石に無視出来なくなった


「彼らの代表に伝えろ

 君達を政府直属の軍隊として召し上げるとな」


 知らせを聞いた彼らは喜んだ

「遂に我等の行いが認められたんだ!!!」

「これからはもっと多くの人を救えるんだ!!」


 しかし、この申し入れを苦い顔で聞き入る人間がいた

 団体結束のキッカケとなった青年だ


政府(アイツら)の下に就くのは反対だ

 SPEICHERNは自由の名の元、誰の指図も受け入れない

 元々のこの国の問題に目を向けなかった奴らの事なんて信用出来ねえ

 最悪、奴らの良いように使われるのがオチだ

 飼い犬は御免だね」


 トップが言うならと引き下がる者が多い中、納得がいかずに噛みつく者達もいた

『毎回危険と隣り合わせなのだから、土台くらいはキチンとした所がいい』

『自分達のこの素晴らしい行いに見合う報酬と名声が欲しい』

『国の直属なんてとてもいい看板になる』

 今までの任務をこなしてきたとは思えない、私利私欲にまみれた者達の叫びだった


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 最後は政府から半ば押し切られる形で政府直属聖騎士部隊『ADULTO(少女)』が誕生した

 青年の予想通り軍の編成や指導方法、任務内容や規則にまで口を出してくる政府により、今まで通りの方法では任務が行えなくなっていた

 それでもどうにか落ち着いた翌年、ある事件が起こった


『元帥大将と一級上将に政府から退団命令が出た』


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 裏切り者と裏切られる者

 目線を変えると見えるものも変わる

 鏡合わせのようにどこまでも続く対立


 これは年齢のように変えられないものに立ち向かう話


「「「Alter des Krieges《齢戦》を始めよう」」」

「『悪夢』とはその人の願望・欲望・願い・祈り・後悔…

それら全てが反映される

出来なかったことが出来たり

欲しかったものが与えられたり

叶うことが全ていいこととは限らないんだよ

まあ、考えてもみろよ


足がない子に走る夢を見せられたとして

それが果たして楽しい夢と言えるのか?」

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