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作者: 百川歩

今日は雨である。

湿気で筆者の顔は浮腫み、他者の顔は傘に被されている。空は灰色と普段とは異なる顔を見せ、人々は濡れた足元を見る。雨の日は室に籠るとただ陰鬱であるが、木陰で雨宿りするとたちまち素晴らしい日に思える。

雨粒が葉にあたる音が聞こえて、辺り一面を白いもやが包み込む。その音を追っていくと、段々心が静かになってゆく。鳥も、虫も、人も鳴かない。遠くで雨音だけが聞こえている。冷えた身体など忘れてしまった。身体は溶けだし雨とともに流れ、それを車が勢いよくはねる。そうしてはっとする。今まで時間は流れていたのだろうか。

帰り道には雨に混じって歌を歌う四人の親子がいて、大きい方の子どもが黄色い長靴を履き水たまりを荒らしているのをよく見かける。そして決まってそれを父親は優しく叱る。その風景も雨のせいなのかなんなのか、白いもやに包まれているような心持ちを抱かせる。

明日も雨である。

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