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21.ペスト大流行 2

 本日投稿分の3/4です。


 テマニアでペスト患者が発生したことで、テマニアも封鎖の対象となってしまった。

 何とも運が悪いことに、ペストの流行が沈静化するまでテマニアから脱出できない。


「セト、アタシ達これからどうなるのかしら」


 シェリスが不安そうに尋ねる。


「まずは、宿屋で待機かな。部屋や体を清潔に保っていれば、ペストになる可能性は低いと思うよ」

「セトの魔法で何とかならないの?」


 そんな事を言われても、【ステータス】や【暗黒魔法】には、病気を治療する能力なんて備わっていないと思う。

 いや、何もしないで決めつけるのは良くないか。

 諦めるのは、出来ることを全てやってからでも遅くない。


「そうだね。どうなるか分からないけど、出来る事はやってみようか」

「さすが、それでこそアタシのセトよ!」


 アニラさんに頼んで、ペスト患者と面会させてもらう事にした。


◇◇◇


 テマニアにある病院へ行くと、看護師のバリルさんに案内されてペスト患者の病室まで来た。

 事前に魔導ギルドから連絡を入れてもらっていたので、特に問題なくペスト患者に会う事ができた。

 ただ、防護服にマスク、保護眼鏡と完全防御での面会だ。


「こちらがペスト患者のテレンさんです。医師の診断によると、腺ペストだそうです」


 そういうバリルさんも、完全防御している。

 まずは【ステータス】で患者の診断ができないか確かめてみる。


【ペスト患者のステータス】

  【名前】 テレン

  【性別】 男(人族)

  【年齢】 25

  【職業】 騎士

  【体力】 90/120

  【魔力】 50/50

  【腕力】 20

  【俊敏】 15

  【知力】 20

  【器用】 25

  【状態異常】 衰弱(重度)、ペスト

  【能力】 【剣技】Lv4


 どうやら、ペスト患者の状態異常欄には『ペスト』と出る様だ。

 ペストで体力を消耗しているらしく、『衰弱(重度)』も出ている。

 詳しい症状までは分からないものの、病名が分かるのはなかなか有用だ。


 次は、『ペスト』の状態異常を【消滅】で消せないか確かめてみる。


――【消滅】


 【ステータス】の状態異常欄から『ペスト』の表記は消えたものの、テレンさんは苦しそうなままだ。

 もう一度【ステータス】を使うと、状態異常欄に『ペスト』の表示が復活していた。

 どうやら、ペストを【消滅】で治療しても、体内にはペスト菌が残ったままなので、すぐペスト状態に戻ってしまう様だ。


「セト、上手くいきそう?」


 シェリスが心配そうに訪ねてくる。


「あまり良くないね。ペストの病気を【消滅】で消そうとしたけど、無理の様だね」

「そっか……。病原菌を【消滅】で消そうとしても、菌類は生物だから消費魔力が多くて無理なのよね」


 そう、ペスト菌を【消滅】させる事も考えたが、消費魔力が多すぎて現実的ではなかった。

 生物相手なのもあるが、ペスト菌の数が多すぎて、消費魔力が莫大になってしまう。

 何とかして、ペスト菌だけを殺菌出来ないだろうか。


 殺菌……。

 菌を殺す……。

 そうだ、あの魔法なら何とかなるかもしれない。


【呪殺】

  【消費魔力】 200

  ・対象範囲内の生物、または特定個体の生物を死亡させる。

  ・範囲指定で使用する場合、死亡させる生物の種別や特徴を指定できる。

  ・魔法の使用から効果が発生するまで、十数分~数時間の時間を要する。


 これまた、暗黒魔法の名にふさわしく、申し分ないほど悪意に満ちた非業の魔法だ。

 しかし、これで病原菌だけを狙い撃ちできれば、とてつもなく有用だ。


「シェリス、何とかなるかもしれない。ペスト菌を対象に【呪殺】を使えば、患者を治せるかもしれないよ」

「本当? でも、本当にそんなに上手く行くかしら」

「私の元居た世界では、ペスト菌だけを殺す薬があってね、そのおかげでペスト患者のほとんどは助かっている。それと同じことが魔法でできれば、ペストの患者は助かるよ!」

「そうだったのね、やっぱりセトは凄いわ!」


 対象範囲はこの病院、死亡させる生物はペスト菌で【呪殺】を使う。


――【呪殺】


「これで、上手く行けば明日の朝には患者は良くなっていると思います」


 バリルさんにその事を伝え、その日は宿屋に戻った。

 ペストに掛からない様に、宿屋では丹念に体を洗い、清潔な部屋でゆっくり寝た。


◇◇◇


 翌朝、テレンさんの様子を見に病院へ行くと、看護師のバリルさんが待ち構えていた。


「セトさんとシェリスさん、テレンさんが快方に向かっています!」


 どうやら、呪殺によるペスト菌の殺菌に成功した様だ。

 これで、他にペスト患者が現れない限り、1週間程度で封鎖解除されると思う。


「それは何よりです。テレンさんと面会させて頂いて構わないでしょうか」

「はい、もちろんです」


 昨日と同様、完全防御の装備でテレンさんに面会する。

 テレンさんは寝ているらしく、起こさずそのまま【ステータス】を確認する。

 状態異常欄が『衰弱(軽度)』のみになっているので、ペストから回復できた様だ。


「バリルさん、私が見た所では、テレンさんからペスト菌が完全に殺菌された様です。衰弱の程度も軽いので、このまま回復するかと思います」

「やはりそうですか。医師の方々も同意見です」


 医者の方々も同意見なら、間違いないだろう。

 何はともあれ、私とシェリス限定ではあるが、ペストの治療法が見つかったという事になる。

 それに、元世界にあったような抗菌剤がこの世界で発見されれば、ペストの撲滅も夢ではないだろう。


「私は急ぎ、この情報を魔導ギルドへ報告しに行きます」


 そう言って、私とシェリスは病院を後にした。


 魔導ギルドのテマニア支部へ行き事情を説明すると、遠距離通話機を使ってギルド長へ直接報告する事になった。

 遠距離通話機という名前だが、いわゆる電話機だ。


「こちらはセトです。テリオルさんでしょうか」

「ああ、そうだ。何か重大な報告があると聞いたが、何があった?」

「ペスト患者が発生したことでテマニアが封鎖されているのはご存知だと思いますが、そのペスト患者の治療に成功しました」

「なに、ペストを治療しただと! それで、その治療法は誰でもできるのか?」

「いいえ、暗黒魔法Lv8の【呪殺】でペスト菌を殺菌する方法なので、私とシェリスしか治療できません。混乱を避けるため、この事はまだ外部には伝えていません」


 治療法を公開するのは、テリオルさんと相談して決めることにしていた。

 下手に公開して、治療希望者が押しかけて来るのは御免だからね。


「それであれば、混乱を避けるためにも、治療法を秘匿しているのは正解かもしれんな。ひとまず王家へ報告するので、それまでは宿屋で待っていて欲しい」

「分かりました。私達の居場所は、テマニア支部のアニラさんがご存じです」


 それだけ伝え、遠距離通話機を切る。

 あとは、早く王都に帰れることを祈るだけだ。


◇◇◇


 翌朝、宿屋で休んでいると魔導ギルドから呼び出しがあった。

 魔導ギルドへ行くと、王都のテリオルさんから遠距離通話で話があると言われた。


「セトです。テリオルさんからお呼び出しと聞いて来ました」

「セト殿、待っていた。実は王家からとある依頼が来てな、心苦しいのだが受けてくれないか」


 このタイミングで王家から依頼とは、聞かなくても内容が想像できてしまう。


「依頼内容は、マリトール市へ行って、ペスト患者の治療をせよという事でしょうか」

「察しが良いな、そういう事だ。受けてくれるか?」


 さすがに王家からの依頼を断る訳にはいかないだろう。

 それでも、シェリスの意見を聞くことにする。


「シェリス、マリトール市へ行ってペスト患者の治療をしてくれ、と王家から依頼が来たみたいだ。私は受けようかと思うけど、シェリスはどう思う?」

「アタシも受けたほうが良いと思うわ。もしセトがペストになっても、アタシが治してあげられるしね」


 確かにペストを治療できる2人が居ると、ペストに掛かってもお互いを治せるから安心だ。

 シェリスの同意が取れたので、依頼を受けることにする。


「テリオルさん、その依頼を受けることにします。さすがに、王家からの依頼を断る訳にはいきませんからね。もちろん、シェリスも一緒です」

「そうしてもらえると助かる。二人とも命を危険に晒すのだ、報酬は弾んでもらえる様に掛け合っておく」

「わかりました、報酬の方は期待しておきます。では、早速マリトールへ向かう事にします」


 まったく、ゆっくり休む暇も無い。

 報酬を弾んでもらえるとの事なので、この件が一段落したら、ゆっくり休むことにしよう。


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