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1.プロローグ

 生粋の理系人間で文章を書くのが苦手なので、長文の練習として小説を書いてみました。

 前作は作法も何もなく適当に書きましたが、今度は小説の書き方を少しだけ勉強して挑みました。

 気を抜くと報告書や論文のような文章になるので、面白いかどうかは分かりませんが、気に入ってもらえると嬉しいです。

 王道ストーリーではないと思うので、読んで気分が害される様でしたら、そっとブラウザを閉じて頂ければと思います。


「瀬戸 鳴海よ、お主に与える転生特典ギフトは、暗黒魔法Lv10にしようかの」


 え?


「高Lvの暗黒魔法はレア中のレアでの、暗黒魔法Lv10を使えるのは引きこもりの暗黒神シェリスくらいじゃ」


 転生神様、先ほど平和でのんびりした生活を送りたいとお願いしたはずですが。

 何故そのような物騒な能力が転生特典ギフトに選ばれたのか問い詰めたい。

 そもそも、3回目のデスマーチ突入に耐えられず、34歳という若さで過労死したSEの私に同情して、異世界へ転生させてくれるという話だったのに。


 関係ないけど、暗黒神シェリス様は引きこもりらしい。

 うらやましい、一緒に引きこもりたい。


 それはさておき、転生特典ギフトの話を進めよう。

 高Lvの能力を頂けるのは有難いのだが、暗黒魔法とは少し過激すぎだと思う。


「あ、あの、もっと穏やかな能力は無いのでしょうか。平和でのんびりした人生を過ごしたい私には、少々過激な能力かと思います」


 もしかして、名前から想像するような凶悪な魔法ではなく、もっと穏便な魔法なのだろうか。

 それとも他に理由でもあるのか。


「転生先の異世界パールナイトは危険な生物の跋扈する、いわばファンタジー世界じゃ。危険と隣り合わせの世界で生きて行くには、身に降りかかる火の粉を払う程度の力は必要じゃろ」


 確かにその通りだけど、露払いには過激すぎる気もするので、もう少し理由を聞いてみよう。


「確かにおっしゃる通り、生きて行くためにある程度の力は必要だと思っています。ですが、何故そこで最高Lvの暗黒魔法になるのか、理由を教えて頂けないでしょうか」

「それはな、暗黒魔法はあまりに人気が無く、習得Lv10にしたが誰も受け取ってくれんのじゃ。皆、勇者になるだとか成り上がるだとか言いながら、神聖魔法や空間魔法ばかりを希望しよる……」


 どう見ても、不人気商品の在庫処分でした。


「それにの、あまり便利な能力を持つと仕事に追われる人生になるぞ? かといって、使えん能力だと生きて行くのに苦労する。そんな中、暗黒魔法は丁度いいとは思わんかの?」


 確かに、便利な魔法を使えると、嫌というほど仕事が舞い込むだろう。

 普段は不人気で、いざという時は絶大な力を発揮する能力、というのは平和に暮らしていくには理想的かもしれない。

 ここは転生神様のありがたい配慮を受けることにしよう。


「転生神様のご配慮、理解致しました。謹んでお受け致します」

「あいわかった。儂の希望を受け入れてもろうたた礼として、ステータスの能力も強化しておくでの。転生した後は【ステータス】と強く念じるがよい」


 転生神様は、満面の笑顔で話を続ける。


「【ステータス】は人や物の情報を確認できる能力じゃ。あわせて、森の中でのんびり暮らすための道具も添えておくでの。それでは、よき人生を!」


 その言葉と共に、足元へ魔方陣が浮かび上がり、光出す。


「え? 森の中でのんびりって、ちょっと誤解が……」


 最後に違和感のある言葉が聞こえたが、抗議する間もなく意識は遠のいていった。

 こうしてセトは異世界パールナイトへ転生することになった。


◇◇◇


 小さな丘の上らしき場所で目が覚めた。

 少々厳しめの日差しだが、そよ風が気持ちいい。

 どうやら、無事にパールナイトへ転生できたようだ。


 付近を見渡すと街道があり、その先には城壁に囲まれた大きな街が見える。

 街には歩いても2~3時間で着きそうだ。

 また、街からやや離れた場所へ、鬱蒼と茂った森が見渡す限り広がっている。

 森の中の様子は分からないが、サバイバルの知識も無しに、何も知らない世界の森へ入るのは自殺行為だと思う。

 ここは、街の中へ入って職を探しつつ、生活基盤を立ち上げていくべきだろう。


 出発する前に、所持品とステータスを軽く確認しておこう。

 手元にはショートソードと大きめの背負い袋が置いてあるので、これらは転生神様からのプレゼントだろう。


【所持品】

  ・衣服|(今着ているもの)

  ・ショートソード|(鞘と帯付き)

  ・背負い袋|(登山用ザックのようなもの)

  ・毛布

  ・ビニールシート

  ・コイン袋|(金貨1枚、大銀貨4枚、銀貨10枚)

  ・ファイアスターター|(火打石のようなもの)

  ・ナイフ|(鞘付き)

  ・布切れ×10

  ・太いロープ10m程度

  ・細いロープ5m程度×4

  ・小型タープ|(天幕)

  ・水入り水袋1リットル×2

  ・空の水袋1リットル×10

  ・携帯食料×10食分|(どう見てもカ〇リーメイト)

  ・簡易食器×1人分

  ・身分証


 どうみても、森の中で生きて行くためのサバイバルキットだった。


 そうじゃない!

 森の中で俗世を捨てた生活を望んだ訳じゃない!

 そこだけは強調したい!


 転生直前のあの言葉は、やっぱりこういう意味だったのか。

 転生神様のちょっとナナメ上な配慮に、涙が出そう。


 他にも色々とツッコミを入れたい。

 身分証には「名前:セト。この者は異世界人であることを保証する。保証人:転生神ネフリィ」と書かれているが、この国で通用するのだろうか。

 それに、セト(瀬戸)は名前じゃなくて苗字だ、エジプトの神様みたいでちょっと落ち着かない。


 転生直後からサバイバル生活とか、異世界転生の出だしとしてはハードルが高すぎると思う。


◇◇◇


 気を取り直して、ステータスの確認を行おう。

 きっと、元の世界にはない、素晴らしい能力があるに違いない。


 ――【ステータス】


 おお、近未来映画のAR表示みたいに、目の前へステータス表示が浮かび上がってきた。

 さすがはファンタジー世界、期待が持てそうだ。


【セトのステータス】

  【名前】 セト

  【性別】 男(人族)

  【年齢】 17

  【職業】 魔法使い

  【体力】 100/100

  【魔力】 1000/1000

  【腕力】 25

  【俊敏】 20

  【知力】 100

  【器用】 30

  【状態異常】 異常なし

  【能力】 【ステータス】Lv7、【暗黒魔法】Lv10

  【賞罰】 なし


 ステータスの値については、元SEで職業が魔法使いだからか、魔力と知力が高めだ。

 これが多いのか少ないのかは基準が分からないので何とも言えない。

 転生神ネフリィ様から【ステータス】の能力も強化して頂いているが、そちらの確認は後回しでもいいだろう。


◇◇◇


 さて、お待ちかねの暗黒魔法の詳細を確認だ。


 転生前の趣味として、異世界転生ファンタジー小説をよく読んでいたので、色々と想像が捗る。

 謎の暗黒物質を使って思い通りの物質が作り出せるとか、影移動で瞬間転移できるとか、そういった魔法が含まれていることに期待だ。


【暗黒魔法】Lv10

  ・非常に強力な効果の魔法を覚えることができる。

  ・暗黒魔法Lvに応じて、最大威力が向上し、最大範囲が拡大する。

  ・暗黒魔法のLv2以上の習得には、非常に厳しい条件の達成が必要。

  ・対象が術者以上の暗黒魔法Lvを習得している場合、暗黒魔法の効果は発揮されない。


  【暗黒魔法】Lv1 【暗闇】

    【消費魔力】 10

    ・光や音の無い真っ暗な空間を作り出す。

    ・暗闇の空間は、移動や変形を任意に行える。

    ・暗闇の効果は暗黒魔法Lvと等しい日数だけ持続されるが、任意に解除することもできる。


  【暗黒魔法】Lv2 【激痛付与】

    【消費魔力】 20

    ・激痛効果を対象に付与し、触れた者へ激しい幻痛を与える。

    ・激痛効果は直接触れるだけでなく、衣服や防具超しに効果を発揮する。

    ・効果時間は永久だが、激痛効果を発揮した回数が暗黒魔法Lvに達すると、激痛付与は解除される。


  【暗黒魔法】Lv3 【五感消失】

    【消費魔力】 20

    ・対象の感覚の1つを消失または減衰させる。

    ・【五感消失】を重ねて使用することで、複数の感覚を消失・減衰させることができる。

    ・効果時間は永久だが、任意の条件で解除することも可能。


  【暗黒魔法】Lv4 【風化】

    【消費魔力】 20

    ・対象が非生物場合、対象の物体を経年劣化させる。

    ・対象が生物の場合、対象を老化させる。

    ・対象を永久変化させる魔法であり、解除はできない。


  【暗黒魔法】Lv5 【腐敗】

    【消費魔力】 20

    ・非生物の対象にカビを発生させる、または腐敗させる。

    ・対象のカビの繁殖または腐敗を促進させる。

    ・対象を永久変化させる魔法であり、解除はできない。


  【暗黒魔法】Lv6 【精神異常】

    【消費魔力】 50

    ・対象へ特定の精神異常を与える。

    ・対象へ特定の感情や記憶を植え付ける。

    ・対象から特定の感情や記憶を抹消する。

    ・効果時間は永久だが、任意の条件で解除することも可能。


  【暗黒魔法】Lv7 【荒廃】

    【消費魔力】 100

    ・対象の区画を砂と岩だけの荒廃した土地へ変化させる。

    ・対象を永久変化させる魔法であり、解除はできない。


  【暗黒魔法】Lv8 【呪殺】

    【消費魔力】 200

    ・対象範囲内の生物、または特定個体の生物を死亡させる。

    ・範囲指定で使用する場合、死亡させる生物の種別や特徴を指定できる。

    ・魔法の使用から効果が発生するまで、十数分~数時間の時間を要する。


  【暗黒魔法】Lv9 【暗黒空間】

    【消費魔力】 10

    ・【暗黒空間】の魔法を覚えた時点で、自身の体内に暗黒空間が作られる。

    ・対象を暗黒空間内に取り込む、または取り出すことができる。

    ・暗黒空間内へ取り込まれた者は、全ての感覚が失われ、その身は朽ちることが無く、孤独により精神が苛まれ続ける。

    ・暗黒空間内へ取り込まれた者へ、感覚の一部開放や語り掛け等、任意の操作を行える。


  【暗黒魔法】Lv10(MAX) 【消滅】

    【消費魔力】 10~

    ・あらゆる存在を永久的に消滅させる。

    ・消滅させる対象に制限は無い。

    ・消滅させる対象の種類により消費魔力が変動し、生命体の場合は消費魔力が特に大きい。


 ……どう見ても、魔王や悪の魔法使い御用達の、凶悪で邪悪で中二病全開な魔法ラインナップだった。


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