番外編その3
ガラッ――――
「やあ、よく来てくれたね。ありがとう。あの3人にきいたんだろ?」
「病気って・・・」
「もってあと一週間。いやぁまいったまいった。」
「なんで・・・なんでそんな笑ってられるんだよ!・・・死ぬんだろ?怖くないのかよ!」
「過去の俺の言うとおりだ。・・・でもな。今まで楽しかったんだ。すごく。」
俺も3か月前まではそうだったのだから。自暴自棄になり、もう訳が分からなくなっていた。でも、俺の生きてきた道を振り返るとやっぱり楽しかったんだ。学校のみんなと話したり、大学に入って紬に出会えたこと、サークルの仲間と朝まで飲んだこと。言い出したらきりがない。
「どういうことだ?」
「そりゃ何度も何度も嫌な事、傷ついたことや後悔したこと、たくさんあった。」
本当に。まだそんなに生きてないけどこの人生の中でたくさんたくさんあった。タイムスリップして現実を知った時だってそうだ。こんな話本当は聞きたくなかったと今でも思ってしまう。高3の終わりに刹那がコロッと変わった時だってあいつの心境に気付いてやれなかった。それで永遠ともケンカしたんだっけ。
「・・・でも、永遠、刹那、凛音あの3人がいたから乗り越えてこれた。」
そう、この3人がいなければ今のオレはない。
「あいつらが・・・」
「そう。あいつらのおかげで楽しかった。・・・あいつらのおかげで今のオレがあるんだ」
あいつらとバカやっていた記憶があるから頑張れる。あいつらのおかげで今自分は病気と向き合えている。過去の俺にこんな話をすることが出来る。笑っていられる。あいつらのおかげで友情の大切さを知れた。
「自分に言うのもなんだけど、お前って意外と強いんだからさ。何も知らずに帰れよ。俺はちゃんと幸せだったさ。」
強いは俺が紬に言ってもらえた、紬に好きになってもらえた部分の一つだから。忘れないでほしい。何も知らずに帰って感じてほしい。あいつらの大切さを。本当に心から言える、俺がちゃんと幸せだったということを。
「本当だな」
「ああ」
「嘘じゃないよな」
「俺が嘘を言うと思うか?」
俺は嘘が一番嫌いなんだ。そのくらいわかるだろう。
「・・・思わない」
「だろ。お前は安心して帰れ。そしてお前の今を精いっぱい生きろ。それが俺の一番伝えたかったことだ。」
ガラッ――――。
少しして永遠、刹那、凛音、紬が病室に入ってきた。
「翔は帰ったのか」
「高校からあんまり性格変わってないなお前。」
「本当に。すごく懐かしかったよ。」
「ああ・・・なぁ、お前ら・・・」
「ん?」
「何?」
「どうした?」
「うん?」
「・・・こんな俺を信じてくれてありがとう。」
そういって翔は深く目を閉じた。笑顔の4人に見送られながら――――。
時は永遠に流れていく――――。
それはすべて輪廻転生のもとに回っている――――。
しかし、私達に与えられるのは刹那でしかない―――――。
その中で未来を翔けってゆくのは君たちなのだ―――――。
さぁ、君だけの物語をつむいでゆこう。
完結です。
ありがとうございました。
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