番外編その2
「翔!しばらくぶりだな!」
「ほんと!久しぶりだね!」
「急に呼び出したりなんかして、どうしたんだよ。」
とあるこじゃれたイタリアンレストランにあのメンバーが集まった。翔の前には医者になった凛音、隣には似合わない教師になった永遠、斜め前にはどうしてそうなったんだと言いたい用務員になった刹那が座っている。みんながみんなそれぞれに働いているのだ。
「このメンバーっつたらやっぱりタイムスリップだよなー」
「うんうん。10年前私保育士になりたいって言ってたんだもんね・・・」
「僕が公務員になりたかったのに・・・永遠がなってるとか・・・」
「いやー、俺は今でもバカだけど、昔はもっとバカだったからなー総理大臣とかww」
「いや、それ言ってたのあんただからね。」
他愛もない会話が翔には心地よかった。
「そういや、そろそろ話してくれてもいいんじゃないのか?」
刹那が翔に向かっていった。
「なにを?」
「あの日に、翔が見た現在の翔の話。」
「あーー!!それ!私も聞きたい!」
「あの時はぐらかしたもんなー翔」
3人が期待の目で翔を見ている。
「なぁ、お前らあの時俺がなんていったか覚えてるか?」
「え?・・・なんだっけ・・・?」
「覚えてないな」
「・・・・未来のオレを頼むなってやつ?」
「さすが凛音だな。」
「あの時なんか意味深だったからなんとなくひっかかってたんだよね。」
「じつはあの時、おれは死に際の自分に会ってたんだ。」
「「「え!?」」」
翔は今自分の身に起こっていることと、タイムスリップしたときに聞かされた話をした。
「なんか、にわかに信じがたいけどそうなんだ・・・な」
全員が返す言葉を失ったしまった。
「悪かったな。急に呼び出してこんな暗い話して。飯代、払っておくしゆっくりしてくれ」
そう言い残して翔はレストランを後にした。
数日後。
ピーンポーン
インターホンが鳴り、入院準備に取りかかっていた翔は玄関に行った。ドアを開くとそこにはあの3人がいたのだ。
「お前ら」
「翔この間はごめんな。」
「あの後、みんなで話して決めたの。これから翔を支えていこうって。」
「3か月もあればいろいろできるからね。だから、、」
「また、10年前のあの日みたいに・・・一緒にバカしようぜ。」
翔の目からはなみだが流れている。
「ありがとう」
それからというもの、翔の体調のいい日にみんなで出かけたり、病室でゲームをしたり色々行った。
そして次第に翔につけられる器械の数も増えていった頃。翔の余命はあと3週間へと迫っていた。
「もう、過去の俺がいつ来てもおかしくない状態なんだ。だからこのいっぱいついてるやつ、これからいっさいつけないことにしたんだ。」
「翔がそう言うのなら、私は何も言わないわ。」
「そうなのか。・・・まぁ、この状態の翔に大丈夫だって言われて安心はできないわな。」
「それもそうね」
「安心して帰るどころか、不安にさせてしまうな」
そう言って4人は笑った。その雰囲気が翔にとってうれしかったし、気持ちが楽であった。
いよいよ余命が一週間に迫った時、翔は病室で紬と話しているところに永遠から連絡が入った。
翔に会った
たったその一言であった。
「紬、悪いんだけれど・・・」
「私、近くの本屋さんで雑誌見てくるね。」
「ああ。助かる。・・・紬の存在は過去の俺に教えたらだめだと思うから。」
「なにそれw」
「あいつに彼女できるって言って、安心したらできないから・・・かな。」
「それもそうね」
そう言って紬は病室を後にした。翔は体を起こして自分か来るのを待った。
誤字等ありましたら、申し訳ありません。