夕方に
翔は2人を振り切り、学校を背に、無我夢中で走っていた。
さっきの永遠の言葉が頭をよぎる。
「翔は今病院で寝てる。お前は病気なんだ。」
その言葉を振り払おうと必死で走った。
嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!
翔は何かにつまずいて転んだ。
「っ・・・」
嫌だ・・・・。
「あの、大丈夫ですか?」
転んだ翔に、女の人が話しかけてきた。
「立てますか?」
手を差し出した女の人の顔は暗くてよく見えなかった。
「あ、ありがとうございます。」
少し支えてもらいながら歩くと目が慣れてきて女の人が白衣を着ていることが分かった。
「お医者さんですか?」
「えぇ、まぁ。休憩の時間にテニスを見るおともにお菓子をと思ってね・・・コンビニに買いにってたのよ」
街灯の近くにきて、顔を上げてみるとその人物が誰なのか一目で理解した。
「凛音・・・」
「え?どうして私の名前・・・。その制服・・・それにその姿・・・もしかして翔?」
「・・・」
翔は静かにうなずいた。
「本当だったのね、翔の話。・・・永遠と刹那には会った?」
凛音は街灯のそばのベンチに座りながら話した。
「・・・・」
翔はもう一度うなずいた。
「そっか。・・・ねぇ翔。・・・今の時代の翔に会ってみる気はある?」
「・・・。」
翔は何も返せなかった。その様子を見た凛音は、一息ついてから話し出した。
「・・・なぜ私たちが翔が来る事を知っているのかというと、タイムスリップをしたあの日。みんなが帰ってきたときに、翔が私達に言ったの。・・・未来の自分を頼むって。・・・あの時は誰も信じてなかったけど。・・・今なら信じられる。・・・」
「この時代のオレ死ぬのか?・・・怖いんだよ。わからないんだ!」
永遠の話を聞いてからずっと考えていたことを凛音にぶつけた。
「大丈夫。この時代の翔は過去の翔。つまり今の君の気持ちもよくわかっているはずだから。」
「・・・・。」
その言葉を聞いてさっきまでの恐怖や未来の自分に会うという気持ちを落ち着かせることができた。
「行こう。」
凛音は翔に静かに手を差し出した。翔は恐る恐るその手を取った・
誤字等ありましたら、申し訳ありません。