タイムスリップ
目が覚めた時には、自分たちのいた希望が丘高等学校に似ているが、どこか新しい教室のようなところに翔は立っていた。
「・・・あれ?みんな?・・ここどこだ?学校?・・・もしかして・・・タイムスリップしたのか?」
翔はあたりを見渡しながら、ゆっくりと歩いた。翔のよく知っている校舎とは違い、色々なものが新しくなっていた。
「・・・あたらしい。こんなテレビなかった!もしかして・・・ここって未来なのか?うわ~すっごいなぁ!」
翔は歩いて廊下に出た。
「おい!そこの君!何している。」
遠くの方から教師らしき人物が翔の方へとやってくる。やばいと感じ、そのあたりにあるものに隠れようとしたが時すでに遅し・・・
「もう下校の時間は過ぎている。早く帰りなさい。」
「す、すみません!!すぐにかえりま・・・・え?」
翔は頭を下げて謝って、顔を上げて驚いた。そこにいたのは自分のよく知っている永遠を少し大人にしたような人がそこにはいた。
「・・・もしかして、永遠か?・・・いや、そんなわけ・・・」
「なんだ、永遠って。先生を付けなさい。君何組の生徒?」
あの永遠が教師をやっている。不思議な光景に翔はおかしく思えてきた。
「あはは!永遠、俺だよ。翔!」
「・・・え・・・翔?」
永遠はすごく驚いているようだった。
「ほら、覚えてないか?・・・放課後みんなでタイムスリップしてさ~」
「え?・・・思い出した。本当に・・・翔だ。」
永遠は少し考えてから、翔の事を思い出したようだ。2人で少し思い出話に花を咲かせていると、離れたところから声がした。
「永遠―?何してんだ?・・・居残り生徒?」
懐中電灯の光が向こうの方からちらつく。こっちにやってくるようだ。
「誰か来る!」
「安心しろ、翔。あれは刹那だ。」
「刹那!?これが、あの!?」
「なんだよ、お前。失礼な生徒だな。」
学校の用務員のような恰好をした刹那がそこにはいた。高校の時のような面影は全くない。
「刹那、こいつは翔だ。」
「翔?」
「刹那、お前、何があったんだよ・・・」
刹那は翔のその言葉を無視してまじまじと翔の顔を見た。
「うそ。・・・本当に翔だ。・・・じゃあ、あの時の話本当だったんだな。」
「ああ。」
そのときの2人の違和感を翔は見逃さなかった。
「あの話ってなんだよ。」
翔は間髪入れず、2人に問った。
「お前は高校生で放課後17時にタイムスリップして来た、翔だろう?」
「そうそう。」
「ここは10年後の世界だ。俺たちは28歳なんだ。」
刹那の言葉に翔は少し興奮した。
「28かぁ・・・なぁ!28のオレは何してるんだ?」
翔は未来の自分に希望を載せて、2人に聞いた。未来の自分が何をしているのか、人の役に立っているのかなど、考えながら。
「・・・・・・。」
それにたいして永遠と刹那の表情は暗いものだった。
「なんだよ。答えろよ。」
「・・・翔、おまえは・・・。」
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誤字等ありましたら、申し訳ありません。