12 変わったお嬢様
俺が寝ようとすると、扉からいきなり体当たりしたような音がした。こんな時間になんだ、あっ、まだ夕方か。
「どちら様?」
扉を開けると、なぜか顔を抑えてうずくまっているエマさんがいた。
「エマさん、わざわざ来てくれたんですか?」
「やっと会えましたわ、アキラさま。ええそうですの。アキラさまが恋しくなりまして」
「えっ!?鑑さま!?まだ少ししかたってないし、恋しくって!?あれ、何かエマさんキャラ変わってない!」
俺はエマさんの変わりぶりにあたふたしていると、エマさんが抱きついてきた。何やら腕に妙に柔らかい感触が伝わってきた。
「あの~エマさん?」
「はい。何ですか?」
「あの~そのですね、腕にですね、男性には少々刺激的な物があたってまして......」
動揺のあまり、鑑までキャラが変わっていた。
「あらあら、鑑さまはえっちいですね」
「エマさんマジでキャラ変わってない!?」
「まあ冗談はおいといて、アキラさまが私を助けたことを、お父様に伝えると、鑑さまに会いたいと、おっしゃりまして探しましのよ」
「それでここを突き止めたと」
「はいそうですわ。では今すぐ、お父様の所へ行きましょう」
「でも俺、今日はつかれ...」
「さあ出発ですわ」
エマさんは俺の話を全く聞かず、引きずるようにして俺をつれていった。あれ?俺ステータスチートなのになんで抵抗出来ないのだろう?まあいいか、それよりこれからどうするかだな。
立派な馬車が近くに止めてあった。馬車に乗ると少し待つとエマさんの屋敷に着いた。そこには縦4メール横6メール位の門がそびえたっていて、横に門番らしき人が槍を持って立っていた。
※メール・・・長さの単位/1メール=1メートル
エマさんがいたのですんなり入ることが出来たのだが、入る時に門番に睨まれ気まずい感じのまま、門を通り抜けた。門を通り抜けて俺は感嘆の声を上げた。
「おぉ~これは凄い」
「これらは、お父様が一流の職人に設計図を書き渡し、造らせたものなのよ」
入って直ぐに左右に噴水があり、噴水と噴水の間から、アーチ状の花や茨で出来た道が続いていた。しかもその道は、天井の僅かな隙間から、少し日差しが入り、噴水からの光の反射で、神秘的に見えていたからである。
「これを造った職人は凄いな」
俺は無意識の内に職人を褒めてしまった。エマさんは特に気にしてないのか、それとも褒められて嬉しくて気づいて無いのかは、わからないないがずっとニヤニヤしていた。おいそれで良いのか?貴族のお嬢様!
通り過ぎると、外からでも見えていたが、物凄く立派な西洋風で美しいフォルムの屋敷がたっていた。
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