閑話 お嬢様の想い
エマさんサイドとなっております。
~エマさんside~
「は~憂鬱ですわ」
「お嬢様どうしたのですか?」
鑑とわかれてから4日たっていた。
「アキラさまにはまだ会えませんの?」
エマはあれからお父さんに、鑑に助けてもらったことを伝えた。そのさい、かなり鑑は美化されていたが、エマだけしかそのことを知らないので、鑑は物凄く凄い人になったが、あながち間違っていなかった。エマの話を聞いて、エマのお父さんは鑑をすぐ探し始めた。エマとお父さんは、すぐに会えると思っていた。エマにも冒険者ギルドに行くことを伝えていたからだ。だが鑑は狙ってなのか、偶々なのか、一向に会うことはなかった。
(はあぁ~憂鬱ですわ。アキラさまはどこに行かれてしまったのでしょうか?)
エマの鑑への呼び方が変わっているのは、鑑から離れた後に、鑑が恋しくなって自然になっていたのだ。つまり恋をしていたのだ。一度助けて貰っただけで、と思うかもしれないが、この世界の人は基本乙女チックなので、仕方のないことだった。
(アキラさまは私のことが、嫌いなのでしょうか?)
「お嬢様、アキラさまがみつかりました」
メイド服を着た、ブロンズの髪が美しい女性が入ってきた。
「本当ですの?今すぐいきますわ」
「お嬢様、しかし、ご準備が...」
「私は一刻も早く、鑑さまに会いたいのですわ」
「しかし」
「二度は言いませんわ」
「わかりました......」
(待っていてくださいなアキラさま)
一種のストーカーになりかけていたが、エマは気にしていなかった、て言うより気づかなかった。鑑への思いが強すぎるが故に。
~30分後~
「ここに鑑さまはいるの」
目の前には冒険者ギルドから、ほんの少し離れた場所にある、かなりボロボロで人が沢山いるのに、そのほとんどが酒を飲んでいる、酒場みたいになっていた宿だった。
「スミマセン」
「はいはい、いらっしゃいって貴族様でしたか、これはこれは、ようこそいらっしゃいました。それでなん用でこちらに?」
ふくよかなおばちゃんは、汗を一つ流しながら、笑ってそう聞いてきた。
「こちらにアキラさまがいらっしゃる、と聞いて来たんですけど」
「アキラさまですか?うちに貴族様は泊まっていませんが......」
「アキラさまは冒険者で、黒髪で、黒目で、童顔で、冒険者にしては細い体付きの人です」
「(ああ、あの行儀のいい子のことか)それなら二階の103号室に今居てるはずですよ」
「ありがとうございますですわ」
(やっと、やっと会えますわ)
実際は4日しかたってないのだが、鑑のことがいとおしすぎて、感覚が可笑しくなっていたようだ。
二階に着くと、103号室に行き扉を勢いよく開け、部屋に入ろうとした。
「グヘッ」
しかし、鍵がかかっていて、顔から扉に突っ込んだ。
「どちら様?」
すぐに扉が開き、中から愛しの鑑が出てきた。
読んでいただきありがとうございます。
一回一回題名変えることにしました。
関係ない話なのですが、エマってgo。gleで調べると、メイドが描かれたマンガがでてきた。