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8.抜け道に向かいましょう

 そういえばメフィナってなんで森の中に一人でいたんだろうな?

 あんな魔物がいる森の中に一人で入っていくなんて無謀すぎだろ。

 もしかして実はメフィナってすごいレベルが高かったりするのか?

 ちょっと【観察】で調べてみるか。


_______


 メフィナ【ヒューマン】 lv1

HP  8/ 8

MP  0/10

攻撃力     2

防御力     1(+1)

魔法攻撃力   5(+2)

魔法防御力   3(+2)

素早さ     2

スキル 

水魔法lv1、風魔法lv1、神聖魔法lv1

特殊スキル

なし

スキルポイント 5

_______




 そんな強い訳ないよな。

 イノシシ相手に苦戦しているようだったしさ。

 となると、ますます一人で森へ来た理由が謎だよな。

 メフィナに事情を聞いてみるか。



「なあ、メフィナ。どうして森の中に一人でいたんだ? 危ないとは思わなかったのか?」

「危ない事は分かっていました。ですが、どうしてもこの森で成し遂げなければいけない事があったのです」

「成し遂げる事?」

「はい。実は私、ギルド入会試験を受けている途中だったのです。森の中にある薬草を取ってくるという試験です」

「薬草を取ってくればいいということは、魔物と戦う必要はないという事か?」

「そうなのです。私は魔物との戦いを避けて何とか薬草も手に入れ、後は帰るだけだったのですが……ご覧の有様になったという訳です。ですから本当にソールさんには助けられました。ありがとうございます」



 ギルドか……

 確かギルドって、そこに所属しているメンバーが町の人々の依頼をこなしていって、対価としてお金や物をもらう。

 そういう場所だったよな。

 俺がやっていたゲームではそういう感じの組織だった気がするけど、この世界ではどうなんだろう?



『ソールさんの認識で間違いないですよ! よくご存じでしたね!』

『あ、ああ、そうなのか』



 本当、ステータスといい、魔法といい、ギルドといい、この世界ってゲームみたいだよな。

 まあゲーム好きだった俺としては楽しくていいんだけどさ。



「私の家庭は貧しくて……でも私ができることといったら魔法位なものです。ですから魔法で稼げる仕事、ギルドのお仕事をしたかったのです」

「それがギルドに入りたい理由なのか」

「はい。ソールさんのおかげで無事にギルドに入ってお仕事ができそうです。本当にありがとうございました」



 メフィナは満面の笑みを浮かべてそう言った。


 うん、まあ、その言葉は俺じゃなくてガイドさんに言ってほしいんだけどな、本当は。

 俺自身は大した事してないしさ。

 でも言われて悪い気はしないよな。




 それからも歩き続ける俺達。

 するとついに―――



「あっ、町が見えてきましたよ、ソールさん」



 メフィナが指差した先には確かに町のようなもの、人間の建物らしきものがうっすらと見える。

 パッと見た感じ、石造りの建物だろうか?

 少なくとも今の日本ではあまり見られない建物だよな。

 そういう光景を見ると、やはり異世界に来た事を実感する。


 町が見えたことで嬉しくなった俺とメフィナ。

 はやる気持ちを抑えつつ、俺達は急ぎ足で町へと向かった。




 町のすぐそばまで到着した俺達。

 だが、町の入口を二人の門番らしき人が塞いでいる。



『ガイドさん、町に入るにはあそこを通らないといけないのか?』

『その通りです。身分証が必要なのですが、ソールさんは身分証を持っていないので、このままでは通れませんね』

『通れませんねって、それじゃどうすればいいんだよ!?』

『まあ慌てないで下さい。私に秘策があります。とりあえずメフィナさんを先に町の中へ入れてあげましょう』



 ガイドには何か秘策があるらしい。

 別に俺に何か策がある訳でもないし、ここは言う通りにするか。



「メフィナ、悪いが先に町の中に入っていてくれないか? ちょっと身分証を見つけるのに手間取っていてな」



 そう言って俺は収納魔法の異空間の中を漁る素振りをする。



「あら、そうなのですか? では先に行っていますね。入口の近くで待っていますから、声をかけて下さい」

「ああ、分かった。すまないな」



 メフィナは門番の方へ行き、門番に身分証らしき何かを見せると、そのまま町の中へと入っていった。


 どうやら身分証があるとあっさりと中に入れるようだ。

 俺には身分証がないからそんな風に中に入れてもらえる訳がないのだが。



『まあ門番がいる所を通るのは無謀でしょうね』

『だよな。でもだったらどうするというんだ、ガイドさん?』

『別に町に入るにはあそこを通らないといけないとは決まっていないんですよ』

『もしかして、抜け道でもあるのか?』

『その通りです! 勘が良いですね、ソールさん!』



 いや、それ位のことで褒められてもうれしくないし。

 というかさ、よく考えれば空間魔法で町の中に転移した方が早いんじゃないか?

 人目のつかない所に転移すれば別に問題ないだろ。



『ソールさん、甘いですね。そんな事ができたら門番なんて機能しないじゃないですか』

『え? ということは何か転移防止の結界でも張ってあるのか?』

『そうです。転移できる人自体は少ないのですが、いない訳ではないので、それ位の対策は大体の町で行われていますよ!』



 まあ確かに町中に転移できてしまったら簡単に外敵に侵入されてしまうもんな。

 そりゃ対策位しているか。

 それでも抜け道ができてしまっているだけ警備はザルな気もするが……



『ちなみに抜け道までは私がまた念で誘導致しますので、その通り進んで頂ければ大丈夫ですよー!』

『ああ、分かった。任せるぞ』



 もう恒例となりつつある、ガイドの念による誘導を頼りに、俺は抜け道を目指した。





 俺はガイドの誘導通りに進んでいくが、どんどん門番がいた所から遠ざかっていく。

 本当にこれであっているのか不安を感じつつも、俺は黙って進んでいく。

 すると、とある茂みにぶち当たる。

 俺の背丈以上の草が生い茂っていて、先がよく見えない。



『この茂みを進んで下さい。その先に抜け道はありますから』



 茂みの奥ね。

 抜け道という位だから隠れた場所にはあると思っていたが、やはりそうだったか。

 こんなに高い茂みがあるからこの先は隠れて全然見えないもんな。


 俺は茂みをかきわけて先へと進む。

 すると茂みを抜け、そして壁にぶち当たる。



『奥まで来たが、何もないんだが、ガイドさん? どういう事だ?』

『いえ、ここで合ってますよ、ソールさん。この壁の奥に抜け道はあるのですから!』



 壁の奥に抜け道?

 見た所、何の変哲もない壁にしか見えないのだが……



『この壁に触ってみて下さい。そして”ハンツノギクサバ”と念じると開きますよー!』



 ツノとサバが何だって?

 よく分からないけど、何かの呪文なんだろうか?

 ”はんつのぎくさば”だったな。

 とりあえず試しに念じてみるか。


 俺は壁に手を添え、そして念じた。



『ハンツノギクサバ!』



 俺がそう念じると同時に、目の前の扉が鈍い音を立てて開いていく。

 そしてしばらく待っていると、扉の先に道が現れた!

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