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5.色々と収納してみましょう

 俺は結界魔法の発動を止めてから森の中を歩き始める。

 ちなみに張ってある結界を意識し、消えるように念じると結界は消えた。


 結構この世界の魔法って単純なんだな。

 直感的で分かりやすくていいわ。

 長い呪文を唱えるタイプだと俺には使える気がしないしな……

 その辺りは本当に助かった。



 ……そういえば喉が渇いた。

 肉を食べたらそりゃ喉は渇くよな。

 どこかに水はないんだろうか?



『この森には水分をたっぷり含んだ草が生えているはずです。それで水分を摂りましょう! あっ、早速発見しましたよ!』



 ガイドに教えてもらいながら例の草を採取してみる。

 見た感じは普通の草に過ぎないが、本当にこの草に水分がたっぷり含まれているのだろうか?



『茎を折ってみて下さい。そこから水が溢れ出てきますから!』



 俺は草の茎をパキッと折ってみた。

 すると確かに茎の折れた部分から水が溢れ出てきた!


 俺はすかさずその水を口の中へと流し込む。

 美味い。



『喉が渇いた時の水の味って最高ですよね! せっかくなので周囲に生えているウォースイ草を採取して収納魔法で保管しておきましょう! いざという時に便利ですよ!』



 この草はウォースイ草というのか。

 備えあれば憂いなしとは言うもんな。

 しかも水分補給は大事だし、保管する意味合いは大きい。

 余分にストックしておいた方が良さそうだな。



 こうして周囲のウォースイ草を次々と収納していく俺。

 これからは喉が渇いたら時々ウォースイ草を取り出して水分を摂取すれば良さそうだな。

 水の心配がなくなるなんて素晴らしい事だ。



『あっ、ソールさん。あそこにミュース草があります。採取しておくと後々役立ちますよ!』



 森の中を歩いていると、このようにガイドがウォースイ草以外にも色々と役に立つ植物を教えてくれる。

 収納魔法のおかげで採取しても全く荷物にならないのがとても助かるな。

 俺は採取した方が良いとガイドがアドバイスしてくるものを手当たり次第に収納していった。

 後々何かの役に立つんだろうし、その時が楽しみだな。


 採取している最中に、時々またイノシシの魔物に遭遇することもあったが、また火魔法で焼いて倒した。

 今後はガイドも威力の調整に一層気を付けてくれたようで、黒焦げにならない程良い感じで焼き上がった。

 ナイス調整だぞ、ガイドさん!


 うまく焼けたイノシシをすかさず収納しておく俺。

 こうしておけば、取り出した時にいつでも焼きたてを食べることができるのだ。

 それってよく考えれば凄いことだよな。

 少なくとも食に困ることはなくなるんじゃないだろうか?



 何度か使っているうちにすっかり使いこなせているな、収納魔法。

 これからも長くお世話になりそうだ。


 ただ、この万能に見える収納魔法にも実は欠点があるらしい。

 その欠点とは、物を出し入れする度にMPを消費するということ。

 そういえばこの収納魔法も魔法なんだから、言われてみればMPを消費するのは当たり前か。

 あんまり魔法として使っている感覚はなかったけど。


 でもそれなのにどうして俺は何度も物の出し入れをできているのか?

 それは【MP自動回復】のおかげだという。

 つまり、俺がMPを使ったとほぼ同時にMPが回復するので、実質使いたい放題らしい。


 ちなみに反則に思える【MP自動回復】にも欠点があり、回復スピードがいくら早くても1ずつしかMPを回復しないらしい。

 MPを例えば100消費した場合、完全にMPを回復しきるまでにはちょっと時間がかかるのだとか。


 ただ、その欠点も【魔法の神髄】を持つ俺には問題にならないらしい。

 【魔法の神髄】とは簡単に言えば、消費MPを大幅に減らすスキルだとのこと。

 例えば本来MPを100消費する魔法をたったMPを1消費するだけで使えるのだ。


 つまり、MP消費が少ないから強力な魔法を簡単に、そして消費MPをすぐ回復するから無制限に使えるという訳だな。

 ……チートすぎるだろ、俺のスキル。



『フフフ、私のソールさんスキル取得計画の凄さ、分かってくれましたか?』

『……悔しいけど、確かにそうだな。でもこんな簡単に魔法使いたい放題になるなら、この世界の人間ってみんな魔法使いたい放題なのか?』

『いえ、こんなことができるのは恐らくソールさんだけでしょう。スキル取得に必要なポイントは才能によります。ソールさんが1000ポイントを使ってこれらを取得できたのは才能の塊の私を取り入れたあなただからこそできた事なのです!』



 ……結局ガイドの手柄と言いたい訳か。

 まあ、実際その通りなんだろうな。

 ガイドを取り込む前の俺の魔法能力は平凡だったしさ。


 別に楽に過ごせるなら力の出処はどうだっていいんだけど。

 自分で身につけた力じゃないと本当の力じゃないとかそんな熱い性格してないしな、俺って。



『そもそも生まれ持ったスキルポイントが1000もあること自体異例ですし。そこはソールさんご自身の潜在能力が高かったんでしょうね』

『へえ、そうなのか。普通はどれ位のポイントがあるものなんだ?』

『人によってバラつきはありますが、だいたい0~10ポイント位でしょう。すごい才能のある人でも100ポイント位でしょうか?』

『へえ、結構少ないんだな』

『はい。もしかしたらソールさんは私の召喚によってこの世界にやって来たので、それで何か影響を受けたのかもしれませんね』



 ふーん。

 スキルポイントが多いのって、いわゆる異世界転移の特典ってやつなのかもな。

 そういう小説読んだことあるしさ。 

 どうしてそうなるのか原理は結局分からないから、そんな知識があっても意味ないんだけど。




 それからも食料確保のため何頭かイノシシを焼いて収納していると、とある場面に出くわすことになった。



『あっ、ソールさん! あそこに誰かいますよ!』



 ガイドが俺に念で伝えてくる方向を見ると、そこには杖を持った白いローブ姿の女性がいた。

 どうやら三頭のイノシシに囲まれているらしい。

 ローブは薄汚れているけれど、必死でこれまで逃げてきたということなんだろうか?

 とても恐ろしい思いをしてきているんだろうな……


 女性はイノシシが怖いのか、遠くから見ても分かるほどブルブル震えている。

 そしてついにはぴょんぴょんと飛び跳ね始めた!?


 ぴょんぴょん飛び跳ねているうちに女性の杖から発生した水色の渦が大きくなっていく。

 そしてその渦から発生した水流が一頭のイノシシへと襲い掛かった!


 だがイノシシはその水流に耐え、そして怒り狂ったように女性に今にも襲い掛かろうとしている!

 そして他の二頭のイノシシも同時に女性の方へ突進していく!



 見るに堪えなくなった俺は素早くイノシシ三頭を火魔法で焼き上げた。

 そして周囲に結界魔法をかけ、他の魔物を寄り付かないようにした。

 こうしてイノシシに襲われた女性の命は守られることになったのだ!

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