表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒーローごっこをしていただけなのに、気付いたらカルト教祖になっていました。  作者: 閃幽零×祝百万部@センエースの漫画版をBOOTHで販売中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/63

7話 偉大過ぎる神。


 7話 偉大過ぎる神。


「――地下の訓練室に向かうぞ」


 そう告げられ、私はすぐに立ち上がった。

 背筋を伸ばし、猊下の一歩後ろを保つようにして歩き出す。


 講義の間の重厚な扉が静かに開くと、外の廊下は、淡く澄んだ光に満ちていた。

 天井は高く、白い石で組まれたアーチが規則正しく連なっている。

 壁面には細かな刻印が彫り込まれており、そこを流れる魔力が、見えない呼吸のようにほのかに脈打っていた。

 魔導灯の光は柔らかく、金色がかった温度を帯びていて、磨き上げられた床石に静かに反射している。


 神帝城の内部は、どこを歩いても荘厳さで満ちている。

 人の気配はあるのに、汚らわしい雑音がない。

 まるで城そのものが、外界から切り離された一つの装置の内部みたいだった。


 猊下の小さな背中を追いながら、私は長い廊下を歩く。

 やがて、地下へと続く大階段が見えてきた。


 その道すがらでも、猊下の講釈は終わらない。


「偉大なる神は……『光そのもの』である。わかるか、ミカンよ」


「は……はい、まあ」


「光そのものが王であり神である……このロジックを説明するのは極めて難しい。不可能ではない。しかし、時間と言葉が足らん。この世界に存在する言語ごときで、セン様の全てを語り尽くそうなどと、それはエゴにもならん。わかるな?」


「……も、もちろんでございます」


 ……また始まった。


 私は内心でため息をつく。

 しつこい。

 よくもまあ、これだけ途切れずに称賛の言葉が湧いてくるものだ。


 同じ意味の言葉を、違う角度から延々と並べ続けているだけなのに、猊下は一切飽きた様子を見せない。

 むしろ、語れば語るほど、恍惚とした表情になっていく。


 ……正直、気持ち悪い。


 そんなことを考えながら、階段の前まで来た、そのときだった。


 下から、一人の男が階段を上がってきた。


 その姿を見た瞬間――


「セン様ぁ?!!」


 猊下の声が、突然弾けた。


 さっきまで悠然と歩いていた小柄な背が、ぴしりと直立する。

 次の瞬間には、床に届きそうなほど深く頭を下げ、両手を揃えた最敬礼の姿勢を取っていた。


 その瞬間、猊下の姿が変わった。

 ほんの一瞬、空気がゆらぐ。

 さっきまで目の前にいたのは、深い皺を刻んだ小柄な老婆だったはずだ。

 だが、次の瞬間には、その姿が消えていた。

 そこに立っていたのは、マリーゴールドの艶やかな髪を揺らす、ハツラツとした美少女。

 背筋は真っすぐに伸び、肌には一切の老いがなく、瞳は星みたいに澄んでいる。

 年齢にして、十代後半――せいぜい二十前後にしか見えない。

 ほんの一瞬前まで老婆だったとは、とても信じられないほど、完全な変貌だった。

 『全身に魔力を巡らせることで肉体を一時的に若返らせる』というのは珍しいことではないが、ここまで完璧な変貌は初めて見た。


 ……私は思わず、階段の方へ視線を向ける。

 ――そこに立っていた男が、誰なのか。

 もう、考えるまでもなかった。


 本来であれば、パメラノ猊下の変貌ぶりに驚くべきなのだろうが、そんな余裕はなかった。

 もっといえば、私も、猊下と同じく、即座に最敬礼すべきだったのだろうが……できなかった。


「な……ぁ……っ」


 圧倒されてしまい、震えることしかできなかったのだ。

 目の前に現れた男……『センエース神帝陛下』が纏っている覇気が、尋常ではなかったから。

 陛下の後ろについている『美人従者』も凄まじいが……主は本当に別格。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ついに陛下が登場……! ミカンが抱いていた狂信への嫌悪感を、 ただの覇気だけで一瞬にして本能的な恐怖へ 塗り替えてしまう圧倒的な格の違いに震えました。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ