54話 復讐。
54話 復讐。
「どうだ、私の閃拳は美しいだろう。毎朝、欠かさず、『この上なく尊き主』に祈りを奉げながら心を込めて突き続けたのだ」
「ぐ……き、気色悪いコトを……何が、尊き主だ……アタシはなぁ……宗教とか、神とか、そういうのが、大っ嫌いなんだよぉ。祈ったところで……救いをもとめたところで、だぁれも助けてくれないって、知っているからなぁあああああ!!」
ユズの中で『根深い怨念』が膨らんでいく。
「ああああああああああああああああ!! ぐぅるぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
殺意と憎悪が複雑に絡まりあって、
理性なき怪獣みたいに叫んで、
そして、
「プラチナァァァァァ!! スペシャルゥウウウウウウウウウウウウウ!!!」
カっと、ユズの眼光が漆黒にまたたく。
彼女の中でうごめく鳴動を感じたバチャルは、
(す、素晴らしいぞ、ユズ! 貴様の中で、プラチナスペシャル『ネメシス・エヴァンジェリン』が開眼した!! 効果は『復讐心が風化しない限り、勝利の可能性が消えない』!! これは『貴様が元々もっていた資質』が『正式に昇華』されたもの! すごい、すごいぞ! これほどのスペシャルを、他に見たことがない!)
「はぁ……はぁ……」
ユズは肩で息をしつつ、
「存在値が……『1600』に上がってる……」
(本当にすさまじいスペシャル! ただ復讐心を燃やすだけで……貴様は、『デイガに勝てる数字』を手に入れた!! ネメシス・エヴァンジェリンは間違いなく世界一! 無敵のスペシャルだ!!)
「へぇ……」
ユズは、ニタリと邪悪な笑みを浮かべると、
「はっ!!」
デイガの顔面に向かって、思いっきり拳を叩き込んだ。
デイガからすれば、素人同然のパンチだったが、数値の差があまりにも大きすぎたので、
パァアン!
と、デイガの頭が、ミサイルでも直撃したみたいに盛大に吹っ飛んでしまった。
「ふふ……はは……ふははははっ! アタシ、超強いぃいい! ただ軽く殴っただけで、あれだけ強い男をワンパン!!」
自分の強さを実感しながら、ユズは叫ぶ。
「あははは! これなら、何でもできる! 私を見捨てたユウゴに、世界に、神に、復讐できる! 私は私を救わなかった全部を、絶対に、許さなぁあああい!!」
などと、危ない欲望を叫んでいると、
「……闇王魔弾ランク3200」
背後から、そんな声がした。
と思った時には、もう遅かった。
ズッパァアアアアアアアン!!
と、ユズの体が跡形もなく吹っ飛んだ。
「……抹殺完了」
『問答無用の速攻でユズを吹っ飛ばした美女』は、そう呟くと、銃を構えた姿勢のまま、ユズが吹っ飛んだポイントまで、音もなく近づいて、通信の魔法を使いながら、
「報告。霊廟にて、存在値1600相当の仮面種モンスターを発見。以降、対象Pと呼称する。対象Pは、制圧に向かった『愚連S級武士』を躊躇なく殺害。緊急時法に則り、対象Pを即時射殺した。検分のためのチームを派遣されたし」




