51話 たった一つの望み。
51話 たった一つの望み。
「……許さない。ユウゴのやつ……いつか、絶対に殺してやる……」
(貴様の想いは理解した。その全てを受け入れよう。貴様に尽くし、貴様の力になってやる。だから、たった一つ……私の願いを聞いてくれ)
「……なによ、願いって」
(あの男……謎の『卑怯な手』で私を殺した、イカレ幻術使い。あの男を……どうか、殺してくれ。そして、この世界を滅ぼしてくれ……この世界にいる人間を……どうか、皆殺しに……)
「……ふぅん……なるほど、そういう系ね。どうしようかな……んー、まあ、いいか。『世界を救ってくれ』とか言われたら絶対拒否るけど、『滅せ』って願いなら、性に合ってるし。……了解。あんたの願いを叶えてやるから、アタシにあんたの全部をよこせ」
(感謝する)
「とりあえず、あんたが知っていること教えて。ここがどこかとか、今のアタシに出来ることとか――」
★
――『実時間』で『1万年』ほど昔(センエースの体感時間で言えば2垓年ほど昔)。
――『第1アルファ(日本)』のとある地区のとある廃ビルで、『蝉原勇吾』は『葛葉柚子』の眉間にトカレフの銃口を押し付けながら言った。
『ユズ。君はもう用済み。正直言って……俺、君のこと、すげぇ嫌いだったんだよね。君って、美学がある悪党じゃなく、ただのヤバい狂人だから、俺とは相いれない』
『……ユウゴ……冗談……だよね?』
『君が、中学の時に、あの女子生徒にやっていたイジメも正直許せない。俺の手下を勝手に使ったこともそうだし、そもそも、やり方が美しくない。君がイジメていた子の名前、確か『上原美甘』だっけ? さかりのついたヤンキー連中にマワさせて、アイスピックで眼球を貫くとか……みっともないよ。無様だ。上原美甘にやったことを、そのまま君にさせてもらうよ。できるだけ苦しんで死ね』
それが、葛葉柚子の生前最後の記憶。
――『原初の世界に転生する前』の『悪神セミハラユーゴ』は、日本で、『数万を超える不良』を束ねる『ヤンキーの王様』をしていた。
そして、『蝉原フ〇ック隊』という『外見だけが基準で集められたセフレチーム』を形成していた。
ユズはその中の一人。
ユズはとある資産家の娘だが、愛人の子なので、父親と一緒に暮らしているわけではない。
母は、真正のビ〇チで、無数の男と遊びまくっており、ユズのことは完全に放任状態……もっと言えば『養育費のために飼っておかなければいけない面倒なATMカード』ぐらいにしか思っていない。
一ミリも愛情を注がれなかった家庭環境が理由かどうかは微妙なところだが……ユズは、『愛されている女』が『殺したいほど嫌い』という濁った性質に染まっていた。




