5話 ミカンの苦悩。
5話 ミカンの苦悩。
『プロローグ・ミカン視点』
――私の名前はミカン。
性別は女。
数日前までは『第50アルファ』の『天帝(世界の頂点)』だった。
が、現在は、センエース神帝陛下を頂点とした組織『ゼノリカ』の末端。
「……ミカンよ、以上が、『この上なく尊き主』のこれまでの軌跡じゃ。主の尊さが少しは理解できたかのう」
目の前で、『神帝陛下の歴史』について講義してくださっている、この女性……
このお方こそが、数日前、私の故郷である『第50アルファ』を、たったお一人で、それもわずか『1日足らず』で完全征服してしまった異次元の超人。
『全世界政府ゼノリカ』の最高幹部、パメラノ・コット・N・ロッド倪下。
小柄な老婆だが、纏っている覇気は別格。
元天帝の私ですら虫ケラに思えるほどの絶対的な強者感。
「はっ、パメラノ倪下! 偉大なる主の軌跡ついて、丁寧にご教授いただけましたこと心より感謝申し上げます」
私は片膝をつき、こうべを垂れる。
かつて、世界一つを支配していた高貴な身分の私だが……
……もはや、この程度のことを屈辱とは思わない。
ただ、パメラノ猊下の『狂信ぶり』には正直、心底うんざりしている。
ゼノリカに所属する者の『神帝陛下に対する狂信ぶり』は常軌を逸している。
正直に言うが……気持ちが悪い。
★
ゼノリカは、少し前まで、『第2~第9アルファ』だけを支配している精鋭組織だった。
しかし、『とある大事件』をキッカケに、
センエース神帝陛下の威光を広げるため、『全世界征服』に乗り出した。
「ぬしが所属することになった部隊『再連』は、ゼノリカの洗礼を受けた天帝や勇者や魔王の心を磨き上げるための訓練組織。主への感謝を忘れず、鍛練と信仰に励むように」
瞬く間に大量の世界がゼノリカに支配され、
つい先日、私の第50アルファも秒で占領された。
――私が所属している『再連』は、
『全世界征服計画と同時に発足した組織』。
猊下は、『心を磨く』などと言っているけど、ようするには『異世界から連れてきた有能な人材を洗脳して便利な兵士にするため』の組織だ。
「――ゼノリカとは、『全てを照らす光』という意味である。無上の光であるセン様の組織として、これほどふさわしい名前はないじゃろう」
と、恍惚の表情で、ゼノリカと陛下の素晴らしさを謳うパメラノ猊下。
『無上の光』って……意味不明。
光には多分、上も下もない。
……正直、この過剰な狂信ぶりには、おぞましさを覚える。
だが、『ゼノリカが凄まじい組織である』という点に関しては同意する。
実際、ゼノリカはスゴすぎる。
これほどまで完璧な組織を、私はほかに見たことがない。




