2話 誤解。
2話 誤解。
……アダムが俺を誤解している理由はシンプル。
俺が、これまでに、『強大な敵』を倒してきたから。
俺は兵器として有能。
それは認める。
けど、兵器は尊くない。
尊いって言葉は、もっと大事なものに使うべきだ。
「ああ、神の中の神よ!!」
永劫を積んだことで、俺は、
ただの『友達がいない童貞の陰キャ高校生、閃壱番』から、
『友達がいない童貞の神、舞い散る閃光コスモゾーン・センエース』に進化した。
だから、一応『神』ではあるが、一般人が想像する『神様』とは違う。
神は完璧でなきゃいけない。
俺は完璧じゃない。
ただ過剰にレベルを上げただけの、どこにでもいる転生者だ。
「果て無く尊きあなた様の隣に居続けるために、私はもっと高く飛ぶ!!」
そう叫びながら、アダムは、両腕にオーラを込めた。
――ちなみに、今、俺とアダムは『第二アルファ神帝城』の地下にある訓練室で、『真剣に殺し合うタイプの鍛錬』をしている。
第二アルファってのは、この世界の名前。
世界は無数にある。
その無数にある世界のほぼ全てを支配している組織を『ゼノリカ』っていうんだが……
信じがたいいこと、俺はその『ゼノリカ』の頂点という事になっている。
言っておくが、立候補はしてねぇぞ。
俺の配下を名乗る連中が勝手に組織を作って、勝手に俺を王にしたんだ。
……これ、相当なパワハラだと思うんだけど……
「この世界に生きる全ての生命を代表し、あなた様に深き感謝を奉げます!」
「感謝より謝罪をよこせ。『過剰に称賛して申し訳ありません』と、土下座してクツをなめろ。じゃなきゃ、一族郎党皆殺しだ、ヒャッハー」
「あなた様に焦がれた! 尊き背中を追い続けた! これは、その結晶!!」
「……配下に土下座とクツ舐めと一族郎党皆殺しを要求している世紀末モヒカン雑魚が尊いわけねぇだろ」
アダムは、恍惚の表情でオーラを膨張させた。
本気の殺し合いでなければ鍛錬にはならない。
だからこその完全実践形式。
「オーラドール・アバターラ・スカーレット!!」
詠唱しながら、アダムは、胸の前で腕をクロスさせる。
すると、アダムの周囲に、合計9体の『分身』が出現した。
「オーダー! 九凰!!」
本体の命令を受けた分身たちは、完璧なフォーメーションで俺を取り囲い、
「「「「「「「「「華緋・異次元砲!!」」」」」」」」」
逃げ場のない大量の照射ビームを放ってきた。
安全地帯を殺されて回避不能。
俺は景気よくダメージを受けた。
空気が焦げて、チリっと弾ける。
ここまでの美しさを魅せられると、俺も本気で対応せざるをえなくなる。
「…………強くなったじゃねぇか、アダム。お前が積んできた努力は本物だ。美しくて、賢くて、激しく強靱。どう考えても、お前の方が俺なんかよりも価値が高い」
彼女の技を評価してから、俺は、グンっと一気に、アダムの懐に飛び込み、
「――閃拳」
それなりに本気の拳をぶちこんでいく。
俺の必殺技『閃拳』。
『技に自分の名前をつけて叫ぶ』という、この狂気的な『ダサさ』が『力』に変わる。
覚悟を力に変えるという、この世界のシステムの一つ。
――アリア・ギアス。
この世界は不都合に不完全で、未完成で、薄汚れていて、胸糞であふれているが、
このシステムの名前に関してだけは、満点合格をあげたいと思っている。
シンプルにかっけぇ。
語感がいい。
「ぐふぅうっ!」
モロにくらってアダムは盛大に吐血する。
結構強く殴ったが、アダムは血を吐くだけで死にはしなかった。
見事な耐久力。
彼女の強さは本物。
「ぉ、お見事です……主上様……あなた様の拳は、この世の全てよりも価値がある」
「この世の価値をナメんな」




