1話 舞い散る閃光。
1話 舞い散る閃光。
「ああ、尊い! 主よ! この世界で最も美しい輝きよ!! あなた様が歩む道は、星々の囁きを伴い、夜空を希望に染め上げる!」
キツめの薬をキメ込んでんのかってぐらい、おおげさに俺をほめてくるこいつの名前はアダム。
山ほどいる俺の配下の中でも最高クラスの美貌と実力を持つ美女。
これまでのクソ長い神生の中で、目が潰れるほど美人を見てきたが、その中でも、彼女はトップクラス。
艶やかで燃えているような黒髪をツインテールにしたミニスカ浴衣姿。
ツンと張った豊かな胸はたっぷりと、長い手足は完全な黄金比。
俺の配下は、みな、俺のことを誤解している『最高にイカれたメンバー』ばかりだが、アダムはその中でも、最上級に、俺という人間を誤解している。
誤解というか、もはや、『特殊な幻覚』を見ていると言った方がいい。
彼女はラリっている。
確実に、俺の知らんところで、イカつい薬をやっている。
そうじゃなきゃ説明がつかん。
★
ここらで、あらためて、自己紹介でもしようか。
俺の名前は閃壱番。
日本でシンプル高校生をやっていたが、テンプレトラックにはねられ異世界に転生した。
生まれつき『無限転生』というチートを持っていた俺は、
転生しまくって『200兆年ぐらい修行』して強くなって、
『その200兆年分の経験と記憶を、すべてタイムリープするためのエネルギーに変えて最初からやり直す』というのを100万回ぐらい繰り返して……
結果――『体感時間』で『2垓年』以上生きてきた。
……数字がキモすぎて、内容が入ってこない?
奇遇だな。
俺もだよ。
数字ってのは、やみくもに大きくすればいいってもんじゃないよな……分かるよ……まったく同意見だ。
……自分で言うのもなんだが……マジで、なんてキモい経歴なんだ。
『2垓』って数字が、とにかくピンとこなさすぎてヤバい……
「ああ、尊き王よ!! そのまなざし一つで、季節が芽吹く! その美しさに、世界が瞠目している!!」
「言葉の意味はよく分からんが、とにかくすごい勘違いだ」
……俺は、確かに、『バカみたいに長い時間』をかけて鍛錬を積んできた。
だから、シンプルな『殴り合い』では世界最強格。
けど、所詮はそれだけだ。
それ以外はなんもない。
頭が悪すぎて政治ができねぇ。
ブサイクでコミュ障で陰キャだから、いまだに童貞。
……美しさのカケラもねぇ。
「生命の頂点! あなた様がいるからこそ、世界には意味が産まれる!」
「安心しろ。俺がいてもいなくても、世界の意味は変わらねぇ。俺がいなかったら、『トウシ』か『蝉原』が、代わりをやるだけの話」
この世界には有能な人材が山ほどいる。
才能も顔面も、俺は『中の下』がいいところ。
「この世界にとって、俺がいない程度のことは、昼下がりのコーヒーブレイクと何ら変わらない平穏なもの」
「命ある者は当然として、無機物も、光さえも、すべてが、あなた様を愛すべき!!」
「……聞こえてる? 俺の『無視した方がいい、聞くに堪えない戯言』、ちゃんと耳に届いてる?」
ここまで過剰に称賛されてしまえば、流石に胃もたれしてゲロで溺れる。
しかも、それが全部勘違いだってんだから、救えねぇ。




